ニート気質な僕の生きる道

自分の経験を活かして、無職やニートや、ひきこもりなど自分と同じように、「生き方」や「働き方」に悩んだり立ち止まった人が前向きになったり、自分の進みたい道に一歩踏み出すきっかけになるブログを目指しています。

『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』を読んで学んだこと。

引きこもりの方の高齢化が叫ばれて久しい中、自治体などでも調査が行われているというニュースを見ました。 

 

東京新聞:「ひきこもり」高齢化に危機感 21都府県が独自調査:社会(TOKYO Web)

 

引きこもりの方の高齢化が進めば当然、その方と一緒に暮らしているであろう親御さんたちも年齢を重ねているわけです。いつかは親御さんもなくなるでしょうし、いつまで引きこもりの方の生活を支え続けられるかは分かりません。

 

そのため、現在少しずつではありますが自治体などで高齢化する引きこもりの方の実情を調べて対策を考えているところだと思います。

 

「では、いったいどうやって高齢化する引きこもりの方はその状態から脱すればいいのか?」

 

この問いに関して明確にスパッと答えられる人は少ない気がします。長年社会と接することなく自信を失っている人も多い。また職歴もない方もいるでしょう。40歳を超えた人の場合、職歴もない人が社員として採用されるのも難しいはずです。バイトすら受からないというケースもききます。

 

中には病気を抱えたまま家に引きこもり続けたという方もいるわけです。その状態で5年、10年、もしくはそれ以上の年月引きこもっている方もいるわけですから、単に「働け」とか「家を出ろ」といったアドバイスがいかに無責任であり実行するのが難しいかはちょっと想像すればわかるはず。

 

そんなわけで、「高齢化する引きこもりの方の場合どうするといい方向に進むのかな?」なんてことを考えていた時に出会ったのが、今回僕が紹介する『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』 という本です。

 

 

 

筆者の池上正樹さんは長年引きこもりについて取材をされてきた方で、現在も引きこもりについて取材されています。本書では池上さんが出会った引きこもりの男性M君が、生活保護を受けて自立に向けて進んでいくまでの3年間について書かれています。

 

M君(僕よりもだいぶ年上の方ですが本書に記載されているとおりここではM君とさせていただきます。)は本書出版時に45歳で、高齢のひきこもりといっていい年齢でしょう。12年引きこもったそうです。人と接することが苦手で学生時代も大学卒業後の就職先の職場でもうまく人間関係を築くことが出来ませんでした。

 

実家も母親の国民年金が支えでお金もありません。(父親はいるが借金があり金銭的に頼れない)また働いた経験はありますが、スキルがあまりないため、就職という道も難しい。

 

さらに精神疾患も抱えており薬を飲むなどしていて精神的にも不安定です。正直、本書を読み進める中で「M君が社会に出るのは相当厳しいかもなぁ。」と思わされることが何度もありました。

 

僕がM君の立場なら「八方ふさがりだ!!」と絶望してもおかしくないかもしれない。実際M君自身も「死にたい」とかそういう気持ちを持ちながら生きてきたようです。

 

そんな厳しい状況のM君が引きこもりから抜け出す過程が克明に描かれている本書は、きっと今引きこもって悩んでいる人やその親御さんの参考になるはずだし、あるいは今何らかの理由で生きづらさを感じている方へのヒントになる一冊なのではないかなと思います。

 

今回は本書の中から僕が特に大事だなと思った事や、共有しておきたいことなどを中心にお伝えしていきます。

 

 

自分たちだけでどうにもならないなら、人の力を借りよう

M君が著者の池上さんと出会ったのは、池上さんの著書『ドキュメント ひきこもり』を紹介した新聞記事を読んだ事でした。

 

この記事は毎日新聞の記者の人が書いたんだけど、M君は記事を読んで毎日新聞の支局に電話して「どこに相談したらいいかわからないからアドバイスがほしい」ということを伝えたんだそうです。

 

その記者からM君の伝言が池上さんまで伝わり、彼とM君がつながることができたわけです。

 

おそらくこの時のM君は相当勇気がいったと思うんですよ。新聞社に電話をかけることなんてまずないし、僕もそうだったけどそれなりの期間、人と接したりしないと電話することすら怖くなりますからね。ビビって手が震えちゃったりする。そんな状況の中でM君はよく一歩踏み出したと思います。単純にすごいっすよね。

 

ここで大事なのはM君が「人の助けを借りよう」と思ったことなんですよね。正直この時池上さんと繋がっていなかったらM君が引きこもりからぬけだせたかどうかはわかりません。いやっ、断言はできないけど抜け出せる可能性は低かったんじゃないかなぁ。

 

なんせM君自身は携帯すら持っていなくて、お母さんの携帯のメールで池上さんとやりとりしていますからね。自分の携帯すら買えないわけですから、経済的にも相当大変な生活をしているのは想像できるわけです。おそらくM君の家にはPCなどのネット環境も整っていないでしょうから、外と繋がることも容易ではないはず。相談相手もろくにいない状況で母ひとり、子一人の状況。どうでしょうか?かなりハードモードと言えますよね。

 

そんな状況の中、M君は自分たちだけでどうにかしようと思わず、池上さんにアドバイスを求めたこと、助けを求めた事っていうのが引きこもりから抜け出すための大きな第一歩だったのではないかなと思います。

 

失敗してもいい、ちょっとずつ進んでいけばいいという考えが大事

M君は池上さんと繋がってから、頻繁に相談をするようになります。その後東日本大震災が発生。そこでM君は池上さんに「被災地でボランティアがしたい」という希望を伝えるんです。

 

さすがに被災してすぐでは現地の状況がどうなるかわからないため、池上さんがまずは被災地で色々と情報収集をすることに。そして震災から三カ月、池上さんは石巻市で引きこもりや発達障害の方の支援をしているNPO法人に取材に行くことになっており、タイミングもいいということでM君をボランティアに誘ったのです。

 

「ここまで順調じゃん!!」

 

そう思った読者の方もいるかもしれません。確かにほとんど家から出れなかった青年が被災地にボランティアに行くというのは大きな一歩だと思います。ところが、なかなかそううまくいかないんですよね。

 

詳細は省きますが、彼は仙台までには行ったのですが紆余曲折あってボランティアに参加せずにそのまま自宅へと帰ってしまうのです。

 

その二か月後に再び現地に向かい、今度は目的のNPO法人までは何とか到着。ところがM君は普段人と接していないため現地のボランティアスタッフと一緒にいること自体がすごいストレスになってしまったのです。

 

そして、自分の車の中に引きこもります。ただプレッシャーがピークに達したのか、だれにも別れを告げずにそのまま自宅に帰ってしまいました。二度目もボランティアに参加することができなかったんですね。

 

ここであなたが受け入れ先のNPO側の人だったらどう思うでしょうか?もしかしたら「忙しい中受け入れたのに二回もドタキャンかよ!!」と憤るなんて言う人もいるでしょう。被災地で必死にボランティア活動をしているわけで、その状況の中M君がする行動というのは周りに余計な心配を与える行為ですからね、あまりいい印象を持たないという人がいても当然だと思います。

 

ところがこの時M君を受け入れる予定であったNPO法人フェアトレード東北の代表の方たちのコメントが非常に優しいんです。

 

「一度では無理でしょう。二~三回くらいチャレンジすればたどり着けるのではないか」

 引用元:『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』 著者 池上正樹 ポプラ社

 

「またちょっとずつここにきて、滞在時間を延ばしていったらいい。お母さんと連絡を取り合っていたようなので、時間があれば、お母さんもいっしょにくるといいかもしれない」

 

これは僕個人の感想もあるんだけど、引きこもりとかって一発ですぐに抜け出せるってことはあんまりないと思うんですよね。

 

特にM君のように長期間の引きこもりをしている人の場合、いきなり外出てバーッと活動しようとしても失敗する可能性が高いんじゃないかな?引きこもりの人にとって誰かとコミュニケーションをとったりする事ってメチャメチャハードル高いし負担もでかいはずです。

 

M君は意気込んでボランティアに参加しようとしたけど、なにもできずに自宅に帰ってしまいました。結果としては失敗に終わったわけです。でも、それが当たり前というか最初はそれでいいんじゃないかな?いきなり大成功を求めない方がいい。

 

というかこれは彼にとってはとても大きな一歩だったと思うんですよ。

 

大事なのは失敗した時やうまくいかなかったとき、引きこもりの人に対して責めたり否定したりしないことです。ただでさえ、自信を失っていてさらに失敗したことで心底自分のことが嫌になってしまう可能性もあります。そんな状況で「ほらっ、やっぱり引きこもりはダメじゃないか」なんて責めたらそれこそ二度と外になんて出たいと思いませんよ。

 

そうじゃなくて、今回M君を受け入れようとしたNPOの人たちのように、失敗したっていい、ちょっとずつやっていけばいいっていうスタンスで見守ってあげる。それを社会全体で出来たらもっと引きこもりの人たちだって外に出やすくなるし、活動もしやすくなる、そんなことを改めて思いました。

 

生活保護は付添人と一緒に申請しよう

M君はその後紆余曲折の末、実家を出て生活保護を受けながら自立への道を歩むことを考え始めます。

 

生活保護の需給に関しては厳しい目を向ける人もいるかもしれませんが、個人的にはM君には十分受給資格があると思っています。

 

M君の実家も親戚も経済的には全く余裕がない状態だし、M君自身は精神疾患も抱えている状況なのでとても仕事ができる状態ではありません。そもそも10年以上引きこもっていて仕事をしてこなかったわけですからすぐに仕事が見つかるわけもありません。かなりしんどい状況です。

 

そんで、ここで問題になるのが生活保護を申請することですよね。かつては水際作戦なんてものがあって、役所で生活保護の申請を受けないようにする取り組みがあったりしたわけで、ハードル高いと感じている人もいるわけです。

 

ましてやM君は長い間引きこもっていて、人とのコミュニケーションもすごく苦手。精神的にもやや不安定で、クリニックでは適応障害と診断も受けており、抗不安薬の薬も飲んでいるんです。そんな状態でケースワーカーの方に色々と今の状況を話さなきゃいけないわけだから相当負担は大きいわけです。

 

そこでM君は彼をサポートしてくれている金子さんが紹介してくれた区議会議員の方と池上さんとともに役所に生活保護申請をしに行ったわけです。これが良かったんですよね。

 

M君は最初っから緊張しっぱなし。汗もめっちゃかいていてケースワーカーが来る前から軽くパニックになってしまっていました。そんなM君に声をかけて落ち着かせる池上さん。きっと池上さんや議員の方がいなかったらM君はプレッシャーで申請する前に逃げ帰ってしまったんじゃないかな?

 

M君はしどろもどろになったり、何を話しているかよくわからない状態になりながらも二人の助けを借りてなんとか保護を申請することが出来たんです。

 

M君の例は極端だとしても、きっと生活保護申請をする人っていうのは差はあれどしんどい状態だと思うんですよね。病気の方もいるだろうし、失業してお金が無かったりとか、追い込まれている方も多いわけです。

 

そういう人の場合、一人で保護申請に行くのは結構ハードル高いんじゃないかな?であるならば、M君のように付き添ってアドバイスをくれたり落ち着かせてくれる人と一緒に行った方が負担も軽減されてちゃんと今の自分の状況を話せるようになるんじゃないでしょうか?

 

ちなみに「一緒に付き添ってくれる人や生活保護に詳しい人がいないんです。」という方の場合NPOやサポートしてくれる団体があります。

 

法テラス|法律を知る 相談窓口を知る 道しるべ

特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい | もやいは、 自立をめざす生活困窮者の 新たな生活の再出発を お手伝いします。

 

これらの団体に連絡を取り、生活保護を申請したいと相談すればお話を聞いてもらえるはず。一人では心細いという方も多いでしょうから、まずはこういった団体にしてみるのもいいと思います。

 

また、生活保護を受給できるにもかかわらずネットにつながる環境がなく、こういった団体の存在を知らないケースもあります。もし、あなたのまわりにそういう人がいたら、「法テラスかもやいに相談してみたらいかがですか?」とアドバイスしてあげるのもいいでしょう。

 

まとめ

今回は池上正樹さんの『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』という本から学んだ事や共有したいことを中心にお伝えさせていただきました。今回の内容を簡単にまとめると、

 

  • 自分たちだけでどうにもならないなら、人の力を借りること
  • 一気に脱出しようと考えない、失敗してもいいちょっとずつ進んでいけばいいという考えを本人も社会も持つことが大事
  • 生活保護を申請する時には付添人がいると申請しやすい

 

という感じです。世の中にはM君と同じく、引きこもりやしんどい状況から抜け出したいんだけど抜け出せないという人がまだまだいると思います。

 

そんな人にはぜひ本書を読んでM君が引きこもりから抜け出す過程でヒントを得てほしいし、最低限僕がまとめた内容だけでも頭に入れてもらえると嬉しいです。

 

最後にあとがきで池上さんがおっしゃっていた言葉がとても印象的だったので引用させていただきます。

 

苦しんでいる「一人」を救済することは、その人だけでなく、家族や周囲をも降伏することにつながっていく。逆にひとりの人間の苦しみ、痛みをそのまま放置することは、周囲の人をも苦しめ、追い込んでしまうのだ。目の前の「一人」を大切にすることが、結局は私たちの社会を誰にとっても居場所のある、暖かいものに変えていく原点なのだと、私は信じている。

 

苦しんだりうまくいかない人間を「自己責任だ」と切り捨てるのは簡単です。でも、本当に100%その人の自己責任なのかというと、そんなことはないと思います。本人の責任もあることはもちろん否定しません。ただ環境や人間関係、そもそもの遺伝的なものなど自分以外の要素も複雑に絡んでくるはずです。

 

そして、何よりも覚えておきたいのはうまくいかなかった人を責めたところで何もいいことは起こりません。責められた本人はますます自信を無くして辛い思いをするだけです。

 

社会や周りの人間がするべきなのは、池上さんや周りの人たちのようにM君にアドバイスをしたり、適切なサポートやいい環境を整えてあげることなんじゃないかな?

 

「自分も他人も責めたところで何もならない。それよりも適切なアドバイスを送ろう。」

 

そんな風に考える人が増えればM君やその他に辛い思いをしている人たちももっと生きやすい社会になるんじゃないかなと思います。

 

それでは今回はこの辺で失礼します!

 

 

池上さんがひきこもりについて書いている記事です。興味がある方は是非こちらもご覧ください。

「引きこもり」するオトナたち | ダイヤモンド・オンライン

 

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