オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』を読んだ感想を書いてみました!!

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僕は食べものに関しては割と保守的なので外出すると、チェーン展開をしてる飲食店を利用することが多いんですよね。まぁ、牛丼ならとかラーメンとか色々チェーン店があると思うんだけど、そばに関しては言えば『富士そば』を利用することが多いわけです。安いし早いし味も悪くないしで重宝させてもらってるんですね。

 

んで、ちょっと前なんだけど、ニュースサイトかなんかでその富士そばが「アルバイトにもボーナスをあげてるらしい」っていうのを知りましてね、まぁボーナス額がいくらとかはっきりとした詳細までは覚えてなかったんだけど、僕の中で「やるじゃん富士そば」なんて感心した記憶があったんです。バイトにまでボーナスをあげる会社ってあまり聞いたことがないし、ましてやブラックな職場環境が多いと言われている飲食業なわけですから、インパクトがありますよね。

 

そしたらつい先日のことですよ、こんなタイトルの本を目にしたわけです。

 

『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』

 

まんまやないかーい!って思わずつっこみそうになったんですが、よくよく思い返してみると、あのサイトはこの本の宣伝か書評をしていたんだなぁと。そうでなきゃこんなどんぴしゃなタイトルの本が出てるわけないですもんね(笑)

 

まぁ、でもなんだかんだで「なんでアルバイトにボーナス出すんだろう?」って気になるじゃないですか?そんなわけで、この本を読んでみたんだけど、富士そばというところが単にボーナスを出すだけじゃなくて、想像以上に従業員を大切にしようと考えていることを知ったわけです。こりゃ、すごいなと。

 

そんなわけで、今回はこの本から、富士そばがアルバイトにボーナスを出す理由を始め、興味深い富士そばの経営哲学を読者の方達と共有してみたいなぁと思います。飲食業をやろうと考えている人なんかは、参考になるんじゃないでしょうか?

 

富士そばはなぜバイトにボーナスを出すの?

まずは、この本のタイトルにもある「富士そばはなぜアルバイトにボーナスを出すのか?」というところから。

 

この本の著者で、富士そばの創業者でもある丹道夫さんは本書の中でこんな風におっしゃられています。

 

アルバイトも、会社を構成する立派な一員です。正社員だけでは会社は回せません。アルバイトの方々が力を貸してくれているからこそ、なんとか富士そばは経営できているのです。正社員でないとしても、彼ら、彼女らも大変な思いをしながら働き、暮らしているのだから、払うものはちゃんと払って報いなければいけません。

引用元:『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』p37 著者 丹道夫 集英社

 

これは丹さんが昔、ご自身のお母さんから言われた次の言葉が頭の中にあるからだそうです。

 

「何になっても良い。ただ、もし商売をやるんだったら、利を得る秘訣を覚えておきなさい。まず、絶対に利を独り占めしないこと。そして必ずみんなに分配すること。そうしないと結局、自分には返ってこないからね」

引用元:『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』p34

 

世の中には従業員のことを人件費としてしか見てないような会社もあるみたいだけど、どうせ働くならこういう理念のある人のもとで働きたいところですよね。

 

大事なのはボーナス払う払わないとかじゃなくて、「アルバイトだろうが社員だろうが関係なくそこにいる従業員一人一人を大切にする」っていう姿勢なんじゃないかな?その姿勢がちゃんと伝われば、アルバイトだってそれに報いようと懸命に働くだろうしと会社を良くしようときちんと働くはず。

 

逆にバイトだからってないがしろにされてたり、不当な立場で働かされてたりしたら、その会社とか店のために一生懸命働こうなんて思うはずもない。あほらしくてサボったり、店のクオリティを下げるなんてこともあるわけですよ。そんなの考えるまでもない、当たり前のことですね。

 

何だろう、時々、とてつもなくひどい環境で従業員を働かせるブラックバイトの存在とかを見聞きしますが、そういう働かせ方で従業員が自分の店を盛り立ててくれるとか本気で思うんでしょうかね?そういう店の人は、この本読んで考え方改めろって言いたいぐらいです。

 

僕は従業員を使いつぶそうと考えてる会社や店は嫌なので、富士そばみたいな考え方の店はもっと栄えてほしいなぁと思います。

 

富士そばには、ほぼ接客マニュアルというものがない

これは僕も読んでて驚いたのですが、富士そばって接客マニュアルがほとんどないんだそうです。せいぜい、入社時にDVDで基本の部分を教えるぐらい。一応研修センターがあるみたいなんだけど、基本的には現場で覚えていきましょうというスタンス。

 

ほらっ、外食チェーンってどこもマニュアルがあって、かなりシステマチックに接客をしているところも多いじゃないですか?実際、その方が従業員の行動を管理しやすいだろうし、お店のクオリティも一定に保たれる。経営する側からしたら都合がいいはずなんですよね。だから、店によってはガッチガチにマニュアルで行動が決まってるなんてところもある。でも、富士そばではマニュアルをそこまで重視していないんです。

 

理想は、お客様のためになることを考えて、自然と身体が動き、言葉を発しているような状態です。ただ、そこまでのサービス精神を持ち合わせるのもなかなか難しい。私は自発的に動く動機が、自分の欲のためでも一向にかまわないと思っています。さらにいえば、人間は自分の欲に従って動いているときが最も自発的になり、良いサービスを提供できるのではないでしょうか。マニュアルは本質ではないのです。

引用元:『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』p14

 

確かに、「○○したい」って欲のためだったら人って自発的に行動するものですよね。例えば、「ガンガン働いて昇進したい」っていう人がいたとしたら、「じゃあ、昇進するにはどうすればいいだろうか?」って考える。んで、おそらく昇進するには、「店の売り上げをあげることが大事だ」ってことに気づくだろうから、そしたら今度は「じゃあそのためにはお客さんに継続的に来てもらえるようにしなくては」みたいな感じで、どんどん自発的に考えて行動していくと。なるほどなぁって思いますね。

 

マニュアルで管理する会社と、富士そばのようにマニュアルをあまり重視しない会社、どっちがいいのかはわかりません。どっちも長短あると思います。

 

ちゃんとしたマニュアルによって一定のクオリティが保たれている外食チェーンも多いですしね。どこでも、同じようなサービスを受けられるというのは強みでもあるでしょう。

 

逆に富士そばのようにマニュアルをあまり重視しないお店の場合、良くも悪くも店によってサービスにばらつきが出る可能性はありますよね。自発性を持った従業員ばかりの店だったら「あの店めっちゃいい接客だよね」ってなるけど、あんまり自発性が無かったり、お客さんを喜ばそうって意識が無かったら、イマイチ評判は良くないのかもしれない。

 

まぁ、でもそういう差が出ることで自分たちのサービスの良しあしもわかるわけですよね。完全マニュアル化だと、他の店舗や従業員と差をつけるのは難しいけど、自発性に任されば、頑張ったり工夫をした人が評価されもするし。

 

いやぁ、面白いっすね。他にも富士そばのようにあんまり接客マニュアルとかない店ってあるんだろうか?気になるところです♪

 

人の個性を考えて適材適所を考える

他にも「これ、すごいなぁ」と思ったことがあります。それは富士そばの場合、働いている人の個性をしっかりと考慮して適材適所を考えているということです。

 

例えば、メインのお客さんがサラリーマンでメチャメチャ忙しくて、とにかく素早くお客さんを回転させないといけない店があるとします。そこに配属されたA店長。ところが、A店長はこのお店ではあまりうまく働けていなかったんですね。

 

そこで、別のもっとのんびりした店にA店長を異動させるんです。異動した店は、野球場の近くにあり、試合の日は忙しい。でも、それ以外の日は比較的のんびりとしていて、お客さんともコミュニケーションがとれるようなところなんですね。

 

すると、A店長はこっちの店ではイキイキと働きだすんです。というのも、A店長は仕事を素早く片付ける速さを求められるような仕事はちょっと苦手なんだけど、その分コミュニケーションをとるのが上手で、異動してきた店舗とガッチリ噛みあったというわけです。

 

富士そばではこんな風に、従業員の個性を見極めたうえで、働く場所についても考えているんですね。これに関して丹さんは次のようにおっしゃっています。

 

人には持って生まれた性格や器があります。もし部下の業績がふるわなかったら、実力を発揮できる場所がないかと適材適所を考えるべきです。能力を発揮できていない従業員をただクビにしていくばかりでは、その企業には誰もいなくなってしまいます。もし業績がふるわない部下がいたら、それを責める前に、まずは「自分の部下の特徴を本当に理解できているのか?」と自身の責任を問い直してみましょう。

引用元:『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』p99

 

これはまさにその通りだと思うんですよね。

 

人には向き不向きがあるし、人によって合う場所というのも違うはず。もちろん、本人が努力をするということも大事ではあるんだけど、明らかに努力だけではどうにもならないような場合もあるわけです。あるいは、努力しても人並み、もしくはそれ以下にしかならないとかね。

 

そういう時に「コイツ使えねー」と従業員を見限ってしまうのか、あるいは「いやっ、もしかしたらこの人は他にもっと合ってる場所があるんじゃないか?」と考えるのか?当然、後者の方が従業員もイキイキと働けるだろうし、長く続くはずです。

 

この考え方をさ、もっと多くの組織が取り入れられたら、人って簡単にやめないんじゃないかな?

 

確かに人手不足な世の中なのかもしれないけど、「じゃあ、自分のところの組織にいる人たちを十分に活かせているか?」って言ったら、必ずしもそんなことないと思うんですよね。何となくだったり、あるいはどう考えてもその場所に合ってない人を配置してしまったりとかね。

 

適材適所。単純だけど、これ意識たらもっと世の中の組織は良くなるんじゃないかなーと個人的には思いました。まぁ、人の個性を見極めるのって難しいですけどね(>_<)だからこそ、多くの組織では適材適所がうまくいってないのかもしれない。

 

まとめ

そんなわけで今回は『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』という本を読んだ感想を書いてみました。

 

正直、記事を読み返して「富士そばをべた褒めしすぎじゃね?」って自分でも思いました。ただ、この本に書かれてる創業者の丹さんの理念だったり、経営哲学はほんとに素晴らしいと思うんですよね。従業員を大切にしようという考えがとても伝わってくるので。

 

今回お伝えした内容以外にも、この本には、創業者の丹さんの経営哲学、具体的には人の育て方で会ったり、商売のコツ、経営者の役割などについて語ってくれています。

 

飲食だけじゃなく、経営に興味があったり、何かしらの組織を運営してみたいという人には役に立つ一冊だと思います。また「富士そばはなんで発展してきたんだろう?」というところに興味がある方も楽しめる一冊になっていると思うので、興味がある方はぜひご覧になってみてください♪

 

それでは今回はこの辺で。