日曜の夜。サザエさんをかなり久々に見た。いつからサザエさんを見なくなったのかわからないが、相変わらずサザエさんたちはサザエさんたちだった。今回観たのはマスオさんが副業をするという話だった。サザエさんも昨今の副業ブームに乗っかったのか、さてマスオさんはいったいどんな仕事するのかなと蓋を開けてみたら、自宅の外の掃き掃除だった。ちなみに同僚のアナゴさんは皿洗いをしていた。(一回100円)
その回を見ながら「それは副業じゃないのでは」と突っ込んだが、そうかサザエさんの家はわざわざ副業して外から金を引っ張ってこなくても、家の中のお金だけでやっていけるんだと思い直した。
昨今のサラリーマンが生活カツカツで副業に手を出したり、仕事がなくなるかもしれないからスキルを身に付けなければと思いながら新たな仕事に手を出すのとは違い、マスオさんは副業がなくても十分やっていける。そもそも持ち家で、義理の父親も働いているしなぁと妙に納得してしまった。
いくら今っぽいテーマをちょろっと取り入れようとも、サザエさんの家はサザエさんの家のままなんだ。相変わらず家には黒電話があるし、子供たちがスポーツをする広い空き地には家が立つ気配すらない。うちの近所の狭い土地には新しく家が立つというのに。
ちなみにこの回でマスオさんはアナゴさんを見習って、家で皿洗いをしようとするのだが、フネさん(サザエのお母さん)が、「そんなことはマスオさんにさせられない」みたいなことを言ってて、あぁ、この辺もサザエさんという作品が生まれた時代とあんまり変わってないんだろうなぁとか、多分このセリフちょっと引っかかる人がいるだろうなぁとも思った。男を台所に立たせちゃいけないみたいな考え方は、今だとおそらく通用しないだろうと。
でも、これはサザエさんだ。漫画版は1946年スタート、アニメ版は1969年に始まっている。基本的には昭和の家族の話であり、昭和の社会であるという前提で見ておけばいい。まぁ、ちょっとした昔話を見て「こんな時代もあったんだねぇ」と懐かしむみたいなものだ。だって、変わらない人たちの変わらない日常を延々と描いているのだから。何度も言うがいまだにサザエさんちは黒電話なんだ。カツオはずっと丸坊主で波平の毛は頭のてっぺんに一本、ワカメちゃんはスカートからパンツがはみ出たままだ。変わらないことに目くじら立ててもしょうがない。
とまぁ、こんな風にサザエさんを見てあれこれ考えてしまうようになって、子供の頃は遥か昔、僕もずいぶん大人になったものだなぁと思った日曜の夜であった。