ニート気質な僕の生きる道

自分の経験を活かして、無職やニートや、ひきこもりなど自分と同じように、「生き方」や「働き方」に悩んだり立ち止まった人が前向きになったり、自分の進みたい道に一歩踏み出すきっかけになるブログを目指しています。

『誰もボクを見ていない』17歳の少年が起こした事件について書いてみた。

2014年3月に埼玉県川口市で当時17歳だった少年が実の祖父母を殺害するという事件が起きました。少年は祖父母を殺害後キャッシュカードを奪い、強盗殺人の罪で捕まり懲役15年の判決を受けます。

 

この事件の概要だけを聞くと「なんてひどい少年なんだ。実の祖父母を金目当てで殺害するなんてひどすぎる!」と思う方も多いでしょう。

 

ところがこの少年が事件を起こすまでの過程を描いた書籍によると、事件は少年が単に金目当てで自分の欲望を満たすために祖父母を殺したわけではないという事実が浮かんできます。そこには幼少期からの虐待や実の母親に振り回された末に事件を起こしてしまった少年の苦悩の日々があったのです。

 

居所不明児童として過酷な生活を強いられた少年

少年は小学5年生の頃から『居所不明児童』として 各地を転々としており、ろくに義務教育も受けないまま年齢を重ねてきたのです。居所不明児とはその名の通り「どこにいるのかがわからない子供のこと」です。住所も分からず学校にも通うことができていない。しかもそれは少年の意思ではなく、本来であれば彼を保護するべきはずの母親と義理の父親たちの勝手な都合によるもの。

 

少年は小学校5年から中学2年まで、母親と義父に連れられ学校にも通わせてもらえないまま、ラブホテルを転々とした野宿をしたりして生活をしていた。さらに、少年は両親から度重なる虐待を受け、「生活費がないのはお前のせいだ」と責め立てられて親戚への金の無心を繰り返しさせられていたという。

引用元:『誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか 』p5 著者山寺 香 ポプラ社  

 

こう書かれているように、少年は両親によってあちこち連れまわされ、学校に通うこともできず虐待を受け、お金の無心までさせられていたわけですね。

 

問題は色々ありますが特に母親の浪費癖はひどく、せっかく少年の義理の父親や少年が稼いできた給料を勝手にパチンコやゲームセンターで使ってしまう。子供のことなどお構いなし、まず自分の遊ぶ金が第一。後にはそんな母親に嫌気がさしたのか少年の義理の父親も蒸発してしまいます。

 

母親の異常な浪費癖とお金を得ることが第一にくる短絡的な思考により、一家は各地を転々とし、少年は『居所不明児童』という立場になってしまうわけです。

 

最終的にはこの母親の指示によって、少年は実の祖父母を殺害することになってしまうのです。少年が犯した罪は許されるものではないかもしれませんが、「はたして自分が少年の立場だったら」と考えるととてもじゃないけどこんな生活を送りながら希望なんてもてません。おそらく自暴自棄にもなるだろうとも思います。とてもじゃないけど事件は少年だけのせいとは言えない、それぐらい彼の置かれた環境というのは過酷なものであったように思います。

 

事件は様々な問題が絡み合った末に起きた

時には家族から子供を離す必要がある

この事件は実に様々な問題が複雑に絡み合ったすえに起きた事件だと思います。まず、母親の存在。本書を読んでもらうと納得できると思いますが、彼女は子供を育てる能力がない人物です。自分が遊べる金さえあればいいし、子供のためにどうにかしようという考えをもたない、いや持てない人物と言ってもいいでしょう。

 

人によっては「家族なんだから」という理由で無理やり家族同士を結び付けようとしますが、世の中には機能不全に陥っている家族がいくらでもあります。少年の母親は子供が学校に通えず居所不明の状態でもまったく気にしていませんでした。それどころか母親はラブホテルで生活をするというとんでもなく不安定な状況の中で、子供(少年の妹)を作りそして産んだわけです。

 

この家族がちゃんと機能していると誰が言えるでしょうか?母親ははたして子供を育てるのにふさわしいと言えるでしょうか?いくら家族だからと言っても、親だからと言ってもそれで終わらせてはいけない。時にその親が子供たちの人生を狂わせてしまうことがあります。今回の事件はまさにそのパターンだったのではないでしょうか?

 

だからこそ家族にだけ任せるのではなく「社会全体で子供を育てる」という考えが必要だと思います。時には親と離した方がいい、特にこの事件を起こした少年は親から引き離して保護されていたら事件を起こさない可能性が高かったはずです。

 

大人たちの意識や社会の制度にも問題がある

また本書を読むと大人たちの意識や子供を保護する制度上のシステム問題があったこともわかります。なぜなら少なくとも3回ほど少年は保護してもらえる可能性があったからです。

 

少年は決してだれの目にも触れないわけではありませんでした。かつて一家はラブホテルで2年ほど暮らす生活をしていましたが、ラブホテルの管理人や従業員は少年の存在に気づいていたんです。「なぜそこに少年がいるのか?」と疑問も持っていたそうです。ただ、そこから一歩踏み出して児童相談所や警察に連絡をすることはなかった。もしそこで連絡していたら‥‥‥と思うととても残念に思ってしまいます。

 

あるいは保護するシステムにも欠陥があることがわかります。少年は居所不明児童にはなりましたが、児童相談所には何度かその存在を把握されています。ところが、彼を親から引き離すことは出来ませんでした。それはなぜかというと「一家の情報を行政が共有できていなかったから」なんですね。

 

一家がラブホテルで生活をしていた場所は埼玉県でした。しかも埼玉ではラブホテルの料金も踏み倒し、世話になっていた家族から預かっていたお金をそのまんま持ち逃げもしていて、そのことを埼玉県内の児童相談所も把握をしていたんだそうです。

 

その後一家は横浜に移動して生活保護を受けて暮らします。つまり違う地域に移動したため、一家の情報が横浜市の担当者たちには伝わっていなかったというわけですね。

 

本来であればこの少年は『一時保護』という制度によって家族から離されてもおかしくありませんでした。一時保護というのは子供が危険だったりよくない環境の場合、子供の安全を確保しましょうという制度です。ラブホテルで2年近く生活していて、子供を学校にも通わせていない環境は明らかに問題でしょうし、最後には窃盗までしているわけですから、この情報さえ知っていれば本来であれば十分一時保護に値するはず。

 

ところが結果的に過去の情報が共有されなかったことで、保護をする側は今の1かの状況を見るしかないわけです。保護された当時この一家は野宿生活をしてはいましたが、少年や赤ん坊に虐待の跡があるわけでもなく、また少年自身も虐待されていたことを言わなかったみたいなんですね。そのため担当者も「多少問題はあるけども両親と一緒にサポートしていく」という選択肢をとってしまったわけです。

 

そのため少年は家族とともに生活保護を受けながら暮らしていくことになります。しかしその後母親の身勝手な理由で、利用していた簡易宿泊所から逃げ出すことに。少年はまたしても居所不明になってしまうわけです。

 

もし、過去の情報が児童相談所どうし、あるいは地域を超えて共有できていたとしたらどうだったでしょうか?きっと少年は両親から離されて保護されていたに違いありません。この子供を保護するシステムについても、改善する必要があるのではないかと思いました。

 

最後に

本書の終わりの章で書かれていた文章がとても印象的だったので共有します。

 

「『こんな社会になってくれ』」と望むだけで、誰もそうしようと行動しなければ意味がありません。(中略)貧困のない社会を望むなら普段からそのような人を見つけたら助けてあげてください」

子供の虐待や貧困に心を痛める一人一人の、あと一歩の想像力と、あと一歩の行動が、声にならないSOSを発する子供たちを救い、私たち自身が「生きたい」と思える社会を作ることにつながるはずだ。

引用元:『誰もボクを見ていない: なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか 』p270 著者 山寺 香 ポプラ社 

 

望むだけではダメ、行動しなければ。確かにその通りです。事件を起こした少年もどこかで大人たちが助けの手を差し伸べてくれていたら、彼の人生は変わっていたかもしれません。

 

はたして僕たちに何ができるでしょうか?大きなことは出来ないかもしれない。でも、何かがおかしいと思ったら意識を傾ける、一歩踏み出してみる。その小さな行動が子供たちの人生を変えるのかもしれません。

 

「誰もボクを見ていない」

 

こんなことを子供に思わせる社会にしてはいけない。そのために何ができるか?ぜひ一度考えてみてください。

 

それでは今回はこの辺で失礼します!