僕は色々なジャンルの本を読むのが好きで、色々な本を読むようにしています。中でもここ最近はノンフィクション系の本を読んで「自分が知らないところではこんなことが起こっているんだな。」と学んだりしています。
今回読んだ本もそんなノンフィクション系の本で読み応えがある一冊でした。
本書は沖縄の夜の世界で働く、あるいは働いた経験のある女性たちを丁寧に取材している一冊です。
沖縄で貧困や暴力を経験した女性たちへのインタビューを通して、沖縄の今がわかると思います。
登場する女性たちは若くして結婚もしくは出産を経験しており、必要に迫られて夜の世界に飛び込んでいます。
キャバクラや夜の世界で働く女性たちを見て「好きで働いてるんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。もちろんそういう方達もいるとは思いますが、本書に出てくる女性たちは必ずしもそうではないわけです。
若くして出産するも、パートナーは認知をしてくれなかったり、逃げてしまったり、育児に協力をしてくれなかったり、それだけではなく暴力をふるわれたりと子供を育てることを考えた時に決して恵まれた環境とは言えない中「お金を稼ぐ」ということを第一に考えて夜の世界に飛び込んだわけです。
彼女たちの過去を聞いていると「そういう人生を生きてきたのか。」と驚いてしまうようなことを経験してきています。その時の彼女たちの心情は想像してもしきれるものではありません。
家族と言えどセーフティネットになるわけではない
本書は「これが問題である」とはっきり提起しているわけではなく、夜の世界を生きてきた女性たちの過去を、ある意味では淡々と書いています。
著者自身は女性たちに対して支援者というよりは寄り添うようなスタイルで取材をしているので「こうしなければらならない」という著者自身の提案は少なく、読者に女性たちの現実を見せることで「あなたはどう考えますか?」とゆだねているようにも思いました。
そんなわけで、僕自身が本書を読んでどう感じたかというと、
「結局家族にたよるだけでは限界があるよな。」ということです。
本書に出てくる女性たちの多くは、家族関係に問題を抱えているんですよね。だからいざ困った時に家族を頼れなかったりする。親自身との関係が悪かったり、パートナーが暴力をふるう人だったりするわけです。
そこに「美しい家族」なんてものは存在しないし、家族の問題は家族で解決すればいいという単純な問題ではありません。よく「家族は美しいものだ」ととぼけたことばかりを言っているどこかのお偉いさんたちには、本書を読んで現実を知ってほしいなと思います。家族がサイコーなんていうのは幻想でしかありません。
以前僕が読んだ『鬼畜の家 わが子を殺す親たち』という本に出てきた親たちも、家族間で問題を抱えていた人ばかりでした。
参考:「鬼畜の家 わが子を殺す親たち」読了。社会の現実を突きつけられる一冊でした。 - ニート気質な僕の生きる道
本書に出てくる女性たちは、幸運なことに子供を殺すという選択をすることはありませんでしたが、何かの歯車が狂えばもしかしたらそうなっていたかもと思うわけです。
そうなるとありきたりの意見だけど家族に頼りっきり任せっきりにするのではなく、社会全体でセーフティーネットをひいて、貧困や家族に頼れないような人たちをサポートしていく必要があるのだなと改めて思いました。
ただ、本書の中でも実際にある女性が役所に相談に行く場面が書かれているんですけどね。家族にはとても頼れないからということだったんだけど、まぁ、お役所仕事とという感じで結構腹が立つ対応をされたりもします。
もちろん役所も慈善事業ではないのですべての相談者に対して「はい、サポートしますよ。」というわけにはいかないのだとは思います。ただせめて本当に生活がしんどかったり、追い込まれているような人たちをサポートするような仕組みっていうのは必要なんじゃないのかな?と本書を読みながら改めて思いました。
どんな制度も仕組みも完璧ではないことももちろんわかりますけどね。
まとめ
今回は『裸足で逃げる 沖縄の夜の少女たち』を読んだ感想を書いてみました。
本書では沖縄の女性たちを取り上げていましたが、日本各地でこういった貧困や暴力などに苦しんでいる女性たちはたくさんいるのだと思います。
もしかしたら普段あなたが見聞きする世界とは違う人生を生きている人たちが本書の中には登場するかもしれません。そういう人たちの人生を辿ることは、きっと他者への理解を広げるきっかけになるのではないかなと思っています。そして、苦しみを抱えた他所の人生を知ることで、みんなが今よりも寛容になれるのではないかとも思います。
興味がある方はぜひご覧になってみてください。
それでは今回はこの辺で失礼します!