11月30日に漫画家の水木しげる先生がこの世を去られました。正直、僕は水木先生はずーっと生き続けるものだと思っていました。いやっ、ずーっととは言わずとも100歳までは確実に生きるであろうと、そんな事を勝手に思っていたんですね。
それだけに先生の訃報を聞いた時にはショックでニュースを見ながらボロボロと涙を流してしまったほどです。今年1番悲しい出来事。いやっ、ここ数年で一番悲しい出来事だったかもしれない。
でも、Twitterとかニュースサイト見ていると、悲しみの声がある一方で
『あの世でも妖怪たちと仲良く暮らしている』
『地獄で相撲を取っているかも』
といったクスリと笑えてしまうような、なんか水木先生らしい追悼のされ方だよな、なんてコメントを沢山見る事が出来たんですね。悲しかったですが、同時に改めて水木先生の存在というのは大きかったんだよななんて思いました。
まぁ、やっぱり寂しいですけどね(>_<)
そんな先生の生き方、考え方を象徴するのが日本経済新聞社から出ている水木先生の著書『水木サンの幸福論』に記された、幸福の七カ条です。亡くなった直後ニュースサイト等で見た方も多いとは思いますが、改めてその内容を振り返ってみようと思います。
幸福の七カ条
第一条
成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第二条
しないではいられないことをし続けなさい。
第三条
他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
第四条
好きの力を信じる。
第五条
才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第六条
怠け者になりなさい。
第七条
目に見えない世界を信じる。
この教え、『水木サンの幸福論』の中で実際に先生が解説されているんですが、それに僕なりの解釈というのも付け加えてみようかと思います。
第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
先生の自伝漫画なんかを見ていると、成功とか栄誉とか勝ち負けに対する執着がほとんどないんですよね。
太平洋戦争の時ですら、『お国のために勝つ!!』なんていう事はありませんでしたし、その後の人生においても基本的には成功とか栄誉ではなくて、『自分が得意な事』『やりたい事』をただ黙々とやり続けた人生だったと思います。
というか、勝ち負けでやってたら多分先生漫画家なんか続けられなかったんじゃないかな??だって、先生の漫画が売れ出したのなんて40歳過ぎてからですからね。
それまでは、それこそ手塚先生とか石ノ森先生みたいな漫画家が売れまくっていて、先生は名誉とかそういう部分では圧倒的に『負けていた』わけなんです。
でも、先生にとってそこは問題ではなかった。ただ単に『自分の得意な事』『自分のやりたい事』を黙々とやり続けた。その結果、妖怪漫画の大家として有名になったし、成功することが出来たのではないかなぁなんて思うんです。
どうしても、成功とか栄誉とか勝ち負けにこだわりたくなるもんなんですが、その辺り改めて先生の教えというのは大切な教えだなーなんて思いますね。
第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
まぁ、これは先生にとって絵を描くことだったり、漫画を描くことだったりということになるんでしょう。誰かにやれと言われたことに関して(学校の勉強とか)は幼いころからあんまり興味を示さなかった先生ですが、絵を描くとか漫画を描くという事に関してはずーっと続けてこれた。
受動的ではなく能動的であること。これってすごく大事ですよね?『自分はこれがしたい!!』という事を見つけて、それをし続けるというのが人生を充実させるのかもしれません。
僕の場合、これがなかなか見つからない(^^;心の底からやりたい!!という事が今のところないので、色々なものに触れてみるとか体験してみるって事が大切になってくる気がします。
好奇心を持ってアレコレ手を出してみようかな。どうせニートなので失うものもないですからね(^^;
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
これは第一条と重なると思うんですが、人間ってあらゆる面で他人と比較したくなるし、他の人からも比較される生き物なんですよね。
『あの人の方が出来がいい』とか『あの人よりは勉強が出来る』とかね。もちろん、比較によって自分を評価できる部分はあるし、仮にそこで自分が劣っているのであれば、それをバネにして頑張ろう!!って思えればいいと思うんです。
でも、あまりにも比較しすぎてしまって『自分って駄目だなー』『自分なんか何してもうまくいかないや』ってなってしまうこともありうるわけなんですよね。それで、全然行動に移せなくなってしまったり、何をするにしても常に人と自分を比較して苦しい思いをしてしまうって事もあると思うんです。
でも、先生の人生みていると、ほんと他人と比較しないんですよ!『あの人が羨ましい』とか『あの人に俺は負けている』とかそういうコメントがほとんどないんです。
いやっ、もしかしたら心の奥底では比較していたのかもしれませんが、少なくとも表面上は他人と比較せずあくまでも『自分の楽しみ』というのを追及していたんですよね。
この生き方いいですよね。凄くいい!
僕も
「他人なんか関係ない!!自分の人生なんだから自分が楽しめればいいんだ!!」
って声を大にして言えるようになりたい(>_<)
僕はまだまだ小物なので、ついつい人と比較してしまうし、やっぱり自分がニートでうまくいっていない感じがあるので、うまくいっている人の人生が羨ましくなってしまう時もあります。
「あの人の人生楽しそうだなー」
って思ってしまうこともしばしば
でも、そんなことを言ってても他人と自分の人生を交換できるわけでもないですからね。
『いかに自分の人生を楽しめるか!!』
というのを今後の課題にして生きていこうと思います(^^
第四条 好きの力を信じる。
これはもうね、先生は『好きな事をして生きてきた』っていう人生ですから。
自分がやりたい漫画とか妖怪研究とかそういった物をずーっとやり続けてきたわけですから異論の余地はないでしょう。
嫌いなものとか興味がないものに取り組むより当然『好きなもの』に取り組んだ方が力を発揮しやすいですし、能動的に何事にも取り組めるはずです。
ただ、『好きな事』って言われてもパッと思いつかなかったりするんですよね(>_<)
本を読んだりとか、運動したりとかそういうのは好きなんですが、じゃあ水木先生並に何かを好きかと言われると「うーん」ってなってしまう。
色々やってみて、何か自分が没頭できるぐらいの『好きなこと』を発見できればいいんですがね。今のところそれがないのか、あるいは本当はあるのに気づいてないだけなのか分かりません。
でも、何にせよ『好きな事』っていうのをはっきり自覚出来て生涯取り組めたら最高だろうなーと思いますね。
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
のんびりした印象の水木先生ですが、売れたのは40歳を過ぎてからです。若い時代は売れない作家として不遇の時代を過ごします。
その間の先生はひたすら作品を描き続けていました。のんびり者の先生からは考えられないぐらい努力をし続けていたのです。
でも、なかなか評価はされないし、売れないし、生活も苦しかったんですね。
先生には漫画の才能、絵を描く才能はありましたが、それがなかなか収入に反映されなかった。実際そういう生活を長い期間送ってきたからこそ出た言葉なんでしょう。
まぁ、人によっては才能をフルに発揮して『若いころから大金持ち』みたいな人もいると思います。
でも必ずしもそうならない場合もあります。水木先生の漫画家人生というのはまさにその分かりやすい典型例の一つと言えるかもしれません。ほんとその辺は先生の自伝をぜひ読んでいただきたい!
果たして好きな事をしているとはいえ、ずーっとお金に困った状態だったら自分なら続けられるだろうか??なんてことは考えてしまいますよね。『もしかしたら報われないかもしれない』そう思うと、少し及び腰になってしまいそうです。
でも結局その人生に納得するかどうかは自分次第なので、『自分が納得できる人生』というのを送りたいものですね。
第六条 怠け者になりなさい。
これは水木先生独特の表現ですよね。
一番先生っぽいというか、なまけるの好きなんだろうなーなんて思います。
隙があれば寝るのが水木先生ですからね(笑)
ただ、そんな先生でも、漫画家として怠けるとは正反対の人生を送っていました。特に若いころの努力の量と言ったらとても『怠け者』と呼べるものではなかったと思います。
むしろ『働き者』と言えるぐらいメチャメチャ漫画を描きまくっていました。全然売れないし、お金も入らないけどひたすら漫画を描いていたんです。
そう考えると『若いうちは何かに没頭してしっかりと働く』そして少し余裕が出てきたらのんびりしましょうというのが水木先生の言いたいことだったんですね。
実際ある程度年齢を重ねて以降はのんびり過ごされていたみたいですから。
結構理想の人生というか見習うところが多いなーと思いますね。
第七条 目に見えない世界を信じる。
水木先生は妖怪の専門家ですからね。これはもう作品そのものがこれを体現しているといっていいでしょう。
そして、僕らの世界には実際に『人知を超えた何か底知れないものの力』というものがあちこちに存在するような気がしています。
実際世界は説明できないことだらけですからね。目に見えるものが全てだ!!と言えるほど、世界って単純じゃない気がしています。
そういう世界を信じると、何か心に余裕が出来る気がする。心が豊かになる。先生はそんなことが言いたかったのかもしれません。
まとめ
以上、水木先生の幸福の七か条について僕なりの解釈を加えて説明してみました。おそらくブログを書き始めてから一番長ーい記事になったことは間違いありません(笑)
それほど水木先生に対しては思い入れが深かったとも言えますね。
先生の歩んできた人生を知っていると、この幸福の七か条というのはとても重みがある説得力のある教えではないかと思います。
逆に水木先生を知らない方の場合、あんまりしっくりこないかもしれません。そういう方にはまず、先生の人生というものを知っていただいて、その後改めてこの『幸福の七か条』を見ていただくといいですね。教えがスーッと心の中に入ってくると思います。
水木先生の死は寂しいですが、心の中に先生の教えを胸に自分なりの『幸福な人生』を送りたいものですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いいたします!