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日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

ニートがひらく幸福社会ニッポンはニートと親の両方に読んでほしい。

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今回は久々にニート関連の本を読んでみました。

 

 

著者はニート支援を行っているNPO法人ニュースタート事務局の事務局長、二神能基さん。僕は以前に「ニート祭り」というまさにニートのためのイベントに参加していたことがあるのですが、そのイベントを主催していたのがニュースタート事務局だったんですね。

 

それで、その時二神さんがゲストトークの際に色々とお話されているのを聞いて「ああ、この人の話面白いなぁ。」と思ったんです。そこから二神さんの本をちょこちょこと読むようになりました。

 

それで今回の本なんですが、結論から言うと

 

「ニート本人とその親御さん両方に読んでほしい」

 

一冊だと思いました。ニートだけじゃなくて親御さんも読むことで「前にすすめるきっかけになるんじゃないかな」と思ってます。今回は特にこの辺を読んでほしいなと思った部分をいくつかご紹介してみます♪

ニートも結婚できる??

 

この本の第1章が「ニートを愛する女性たち」というタイトルなんですが、その名のとおり二神さんの周りでは※ニートの人と結婚する女性たちが増えているそうなんです。

 

※本書では現役ニートと元ニートをふくめて、ニートとしています。

 

女性たちはアミューズメント施設の非正規職員だったり、小学校の先生だったり、ニュースタート事務局(以下、NSと略します)の女性スタッフだったりするわけですが、彼女たちによるとニートの人たちにはこんな長所があるそう。

 

「一緒にいると、自分も背伸びせずに、ありのままでいられる」

「世間ずれしていない分、とても純粋な面がある」

「細やかな気配りをしてくれて、とてもやさしい」

引用元:ニートがひらく幸福社会ニッポン―「進化系人類」が働き方・生き方を変える

 

※以下この記事の引用元は、<ニートがひらく幸福社会ニッポン―「進化系人類」が働き方・生き方を変えるからになります。

 

まぁ、全てのニートの人がこういう長所を持ってるわけではないと思うんです。でも、中にはこういういいところがあってそれを見てくれて女性たちが「結婚してもいい」と思ってくれる。

 

二神さん曰くニート男性の大半は物欲もなく、あまり正社員にはなりたがらずという感じでゴリッゴリのビジネスマンからしたら「何言ってんだ!!」と言われてしまうような人たちばかり。

 

そのかわり

 

仲間たちとのゆるやかなつながりを大切にし、日々の生活を自分なりに楽しもうという意識が強い。

 

という身の丈に合った考え方を持っています。無理がないって感じですね。

彼らは今はフリーターであったりするわけだけど基本的にあまり上昇志向はないんです。でも、そんな人と一緒にいたいと思ってくれる人がいる。なんか希望がありますよね。

 

僕なんかもそうですが、ニートになるとまぁまず

 

「結婚は無理だよなぁ」

 

って思っちゃいますから。経済面から言ってもそうだしこうなんていうんでしょうか、世間体というモノを気にしちゃう。

 

「ニート(もしくはフリーター)が結婚なんて許されるはずがない」

 

別に法律で「ニートは結婚できない」なんて禁止されてるわけでもないんだけど、何となくそういう空気を感じ取っちゃう。中には結婚したい人もいるんだろうけど自然と諦めちゃう気がします。

 

でも、二神さんの周りには「ニート(ニートっぽい人)と結婚してもOK!!」っていう女性がいて、実際結婚している人も少しずつ増えてきている。この本読んだら「もしかしたら自分も結婚できるんじゃね?」って結婚諦めてたニートっぽい人にも希望の光が差すんじゃないかな。だからといって僕が結婚できるわけではないけどね……。

 

あとやっぱりそういう女性たちがちょびっとずつ増えてきているのは、女性の社会進出っていうのも影響ある気がしますね。二神さんも本書でこんな風におっしゃってます。

 

ニートを愛する女性たちの多くは、自分の好きな、あるいは気にいった仕事についていて、生涯働き続けたいと考えている。しかし結婚や子育ても諦めたくない、とはいえ、その三つを一人で完ぺきにこなす事は大変そうだー。

 

要は女性の方がしっかりしているからということなんですね(笑)まぁ、そのサポート役というかパートナーとしてはさきほどの

 

  • 「一緒にいると、自分も背伸びせずに、ありのままでいられる」
  • 「世間ずれしていない分、とても純粋な面がある」
  • 「細やかな気配りをしてくれて、とてもやさしい」

 

みたいな長所があるニートの人の方が結婚してもうまくやっていけるんじゃないか。そんな風に考える女性が少ないかもしれないけどいるってことなんですね。

 

まぁ、まだまだ「男が稼ぐ!!」みたいな価値観は強いかもしれないですけど。でも時代としてそれを実現するのが難しい時代でもあるし、そこにこだわらない女性もいる。そういう女性とニートっぽい男性をうまくマッチングできれば結婚することできる。そんな可能性をこの本に書かれている事例からは感じ取ることができます。

 

僕はこの本読んでて「なんか良いなぁ。」って思いましたね。うらやましいというのもあるんだけど(笑)彼、彼女らなりの価値観があってニートとかそういうのは関係なくて「自分がいい」と思った人と結びつく。この周りとか社会に影響されない感じ。とても好きです。経済面は苦労するかもしれんけどそれなりに幸せになれるんじゃないかな。

 

今ニートもしくはその予備軍の人なんかはこの本を読むと、「なんか自分でも大丈夫かもなー」って思えるかもしれませんね♪

 

親子のすれ違いはなぜ起こる?

先ほどの結婚話とはうって変わってやや固めの話。

 

ニートやひきこもりになる原因は様々ですが、親子関係がねじれうまくいかず子供が時にニートやひきこもりになる原因の一つとして二神さんは「親の20世紀型価値観と子の21世型価値観の違い」があるんじゃないかなとおっしゃっています。

 

本書の中で語られている20世紀型価値観っていうのを僕なりにまとめると次のような感じになります。(あくまで僕なりね)

 

  • いい大学に入って、正社員としていい会社に入って、いいポジションにつく
  • 結婚して子供を立派に育て上げる。
  • 基本的に仕事中心の働き方。家族と接する時間は短い。
  • 競争や勝ち負けにこだわり続け、上昇志向で成功を常に求める

 

逆に21世紀型価値観っていうのは次のような感じですね。

 

  • あまり成功だとか競争に価値を感じておらず、上昇志向もさほどない。
  • 仕事に全てを捧げるような生き方に魅力を感じない。
  • そこまで物欲もなくガツガツもしていない

 

まぁ大雑把に言うとこんな感じでしょうか。で、親世代は20世紀型価値観に立ってて子供は21世紀型価値観に立っている。全員じゃないですよ。全員じゃないけど、明らかに若い人の中には親世代の持っている「20世紀型価値観」に対して違和感を持ってしまっている人がいるんです。

 

確かに親御さんがしっかり働いてきたからこそ今の時代があります。モノも沢山ある豊かな時代が親御さん世代のおかげであることは間違いありません。そこはほとんどの子供たちが感謝しているでしょう。でも同時に「仕事中心」の価値観に対して必ずしもその姿に憧れを抱いたり、希望を持てたかというとそうでもないわけです。

 

むしろ、「自分はあんな働き方はちょっと‥‥‥。」と思ってしまっている。

 

僕はまさにそうでした。高校、大学ぐらいの時には父親が毎晩深夜まで家に帰ってこず、しかも仕事のストレスからかべろっべろに酔っぱらって帰って来る。そうなるのは理解はできます。母親に聞いたら「仕事でいろいろあったらしい」ということでしたから。

 

ある時は家でボロボロ泣いてましたからね。酒のせいもあったのかもしれませんが、その時は年齢が50を超えた父親が泣いていたんです。あまちゃんと言われるかもしれませんが、僕はその時無意識に「ああ、こんな風にボロボロになってまでは働きたくないな」と感じてしまいました。その感覚は今でも根底にある気がします。

 

ただ働くことは全く否定しないし、むしろ自分の得意なことややりたいことをやって人に価値を提供したり、貢献できるなんてすばらしいことです。でも同時に父親のようにボロボロになってそれこそ酒で嫌なことのみこんで前後不覚になるぐらいまで酔っぱらって家帰ってきたら母親や僕たちにブチぎれる。そんな働き方はしたくないし無理だなと今でも思ってます。もちろん、僕たち家族を養ってくれたことに対して感謝してることは間違いないことなんですけどね。

 

でも、多くの親御さんはそんな自分の20世紀型の価値観や働き方が正しいと思っているし、それしか知らない。だからその価値観を自分の子供に押し付ける。一方子供は親の価値観に違和感を感じ、反発を覚えていたりもするのだけど、それ以外の生き方、働き方をどうすればいいかが見えてこない。

 

そうやって板挟みのような状態になってしまったことで、段々と親御さんと距離が出来てしまう。拒否反応が生まれてしまう。その結果、「自分には無理だ!!」とか「親みたいに生きれない自分が悪いんだ!!」と自分を責めてしまう。そうやってひきこもる、あるいは親に背を向けてしまう人というのがあるんじゃないかな。もちろん、全ての原因がそこにあるとは言いませんよ。

 

本書の中にもそんな20世紀型の親御さんの価値観に苦しむある子どもの話が出てきます。

 

浪人の末に中央大学法学部に入学した人志君(34歳)は、司法試験を5回連続で失敗し続けた後、自室に引きこもるようになって今年で6年目。そこで両親がNSの面談にやってきた。

 父親は弁護士で、地方弁護士会の会長。おそらく人志君は物心ついたころから両親の期待を担い、遊ぶのも我慢してコツコツと勉強し、名門大学への合格を果たしのだろう。いわゆる、親の気持ちを忖度して喜ばれるように振る舞う「いい子」を続けてきた。司法試験浪人中は勿論、その受験を断念してからもゴルフ好きな父親と一緒に、ゴルフだけは出かけていたらしい。

 

父親はまさに20世型の価値観働き方の中で成功した方ですね。地方弁護士会の会長までされている方ですから、そうとう勉強も競争もしたでしょうし、おそらく上昇志向も強い方なのでしょう。そんな親御さんのようになることを期待し、自分もそうなりたいと思い込んでいた息子さん。でも、親のようにはなれないとひきこもってしまったケースですね。さらに話は続きます。

 

ところが、ひきこもり生活が5年目に入って変化が起きた。まず、父親が誘ってもゴルフに出かけなくなった。しばらくすると、

「オレがこういう風になったのは、全部おまえらのせいだ!」

母親に対して、そう怒鳴り散らすようになった。

親の期待に沿って立派な弁護士を目指して努力を重ねてきたが、司法試験でつまずき、初めて人志君はこう考えたのだろう。

これは本当に自分の人生だったのか。もしかしたら親のために、親を喜ばせるためだけに、俺は今までいきてきたんじゃなかったのか。今の自分の中は空っぽだー。

 

弁護士の試験を受け続けていくうちに「これは本当に自分の人生だったのか。」と今までの生き方に疑問を持ってしまったんですね。しかも本当は自分がなりたいわけじゃなくて「親のために」弁護士になろうとしていた事に気づいてしまった。そのために人生のほとんどを費やしてしまった。さらに結果も出ないとなれば、その時彼が受けたショックというのは計り知れないものがありますね。僕が同じ立場だったら人生投げやりになってしまうかもしれません。

 

ただ、ちょっと恐ろしいのがこの後です。ここに20世型価値観の典型的な形が見え隠れしてきます。

 

この面談時、司法試験に挫折してからも、父親とゴルフにだけは行っていた事を私が不思議がると、母親はこう説明した。

「一緒にラウンドするのは父親の友人で、各界の名士の方々ばかりなんです。あの子もそういう方々と接していれば、いつかそのうち、きっと元に戻ってくれるはずだと思って‥‥‥」

本人が挫折してもなお、両親は息子が社会的に成功することを諦めていなかった。

そして上昇志向を強いられ続けた人志君が、母親に対して怒りを爆発させたのは、ある意味当然の成り行きと言える。

直接口には出さないものの、ゴルフという形で、自分たちの上昇志向という前世期型価値観を遠回しに、かつ執拗に押し付け続ける親の自覚のなさ。なおかつ、それが子供を思う愛情だと錯覚している鈍感さに、わたしは呆然としてしまった。

 

僕がこの人志君と同じ立場だったら、このゴルフに連れていかれるのは苦痛でしかありませんね。だって自分は父親のように成功できなかったんだから。失敗しちゃったんだから。

 

親からすれば「成功者に接していれば再び成功者への道を歩んでくれるはず」っていう親心なのかもしれません。でも、失敗した人間という自覚が強い人が成功者の中に放り込まれたら劣等感が出ちゃう可能性が高いですよね。

 

「この人たちに比べて自分はなんてダメな奴なんだ。」

「自分はこの人たちみたいにはなれないよ。」

 

自分の存在を恥ずかしいと思うし、表になんか出たくない。きっとそんな風に思ってしまってひきこもるかもしれませんね。少なくともゴルフには一緒に行きたくないって事だけは間違いないです。普通に気分転換のゴルフだったらまだ違っただろうになぁ‥‥‥。

 

 それでまたタチが悪いのが、

 

「自分の価値観を押し付けていることに気づいていない、もしくはその価値観を押し付けることに疑問を持っていない」

 

っていうことなんですよね。それが場合によっては自分の子供を苦しめてしまっているケースがあるって事です。これを親御さんは自覚する必要があるのかもしれまえん。ただ、何度も言うように全ての原因がこれだと言っているわけではありませんからね。あくまで、こういうケースがあるよっていうことでご紹介しています。

 

でも、仮に今ニートとかひきこもっているお子さんがいるんだったらこの本に書いてあることは読んでおいて損はないと思うなぁ。ニートの人の心情を理解する上でもそうだし、親自身が自分の行動を省みるきっかけにもなると思う。全員ではないだろうけど、少なからず自分の価値観みたいなものを押し付けてる親御さんていると思うので。

 

親と子では価値観が違う

別にお互い憎いわけじゃないと思うし理解できるものならしたいはずです。でも、先述したように親は「20世型の価値観」で生きている人が多いし、子供は「21世紀型の価値観」で人生を考えていることが多いはず。価値観が違ってきちゃってるんですね。

 

もちろん、話せば多少は理解しあえるとは思うけど完全にお互いの気持ちとか価値観について分かりあうのは不可能だと思います。むしろ無理にその価値観を受け入れようとするとそれを受け入れられない自分を責めちゃってたりするかもしれない。もしくは自分の価値観を相手に押し付けてしまうかもしれない。それはよくないことですよね。それなら初めから

 

「親と子では価値観が違うんだな」

 

というスタンスでいればお互いの価値観を押し付けあわなくすみます。過剰に期待することもなくなります。互いにいいスタンスで接することができるんじゃないのかなーなんて思うわけです。

 

この辺は本書でも実際に価値観の違いをうまく理解する、もしくは理解できなければ距離をとるという形でいくつか実例が紹介されているので読んでみてほしいです♪

 

特にニートの親御さんは自分の子供と想像以上に価値観が違うんだなというのを頭に入れておいた方がいいと改めて感じました。ニートの人はなんとなくそういうのを分かっている気もするので、親御さんこそこういう本を読んで子供との価値観の違いを認識することが必要なのかもしれないですね。

 

まとめ

今回は「ニートがひらく幸福社会ニッポン」を読んだ中から気づきや感想を書いてみました。でも、ここに書いてあるのまだそのほんの一部にすぎません。僕が書いたこと以外にもニート、ひきこもりの人やその親御さんにとって参考になる内容がたくさん書かれています。

 

まぁ全てのニート、ひきこもりが親子関係のすれ違いから起こるわけではありませんが、それでも「これだけ価値観が違うんだな」というのは覚えていて損はないと思います。おそらく図書館でも借りれるはずなのでぜひ読んでみてください♪

 

それでは今回はこの辺で!!

最後までご覧いただきありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!!