ニート気質な僕の生きる道

自分の経験を活かして、無職やニートや、ひきこもりなど自分と同じように、「生き方」や「働き方」に悩んだり立ち止まった人が前向きになったり、自分の進みたい道に一歩踏み出すきっかけになるブログを目指しています。

『ルポ 漂流する民主主義』世界の民主主義に何が起こっているのかを、分かりやすく教えてくれる一冊!!

先日マイケル・ムーア監督の『華氏119』を観て、今アメリカが抱える問題を再認識することができました。そしてそれらの問題が複雑に絡み合ってトランプ大統領が誕生したということも。

 

で、世界に目を向けると、どうやらアメリカだけではなく世界中の国で異変が起きていると。イギリスはEU離脱派が反対派を上回ったし、フランスでも極右政党の台頭が目覚ましい。いわゆる、「自国ファースト」の主張を掲げ、移民を排斥することを堂々と主張する声も多く挙がっているように思います。

 

世界で何が起きているのか?民主主義はどうなっているのか?そんな疑問を抱える中で、今回僕が読んでみたのはコチラの本です。

 

 

 

本書は朝日新聞編集員で、前ニューヨーク支局長をされていた真鍋弘樹さんが書かれたものです。真鍋さんはオバマ大統領、トランプ大統領が誕生したアメリカで、現場の最前線にて何が起こったのかを取材されてきた方です。そんな真鍋さんが、トランプ当選で揺れたアメリカをはじめ、世界の民主主義に何が起こっているのかに迫ったルポルタージュとなっています。本書は

 

  • トランプ大統領がなぜ勝ったのか?その理由を知りたい人
  • 連続的に起こる各国の民主主義に起こっている異変について知りたい人
  • ポピュリズムとは何か?なぜポピュリズムが起こるのかを知りたい人

 

にオススメの本です。

 

アメリカ、日本、そして世界で起きている問題の共通点がわかる!!

もう過去の出来事になっているとは思いますが、やはりトランプ大統領誕生のインパクトはすさまじかった。あれだけ多くのメディアで「ヒラリー・クリントンが次期大統領だ」と言われる中で、まさかまさかの展開に僕だけではなく多くの人が驚いたことでしょう。

 

では、なぜトランプ大統領が誕生したのでしょうか?本書から引用してみます。

 

少なくない白人が中流から下流に滑り落ち、人種構成でも少数派になろうとしている。圧倒的優位性が揺らぐことによる焦りや怒り、不安。それが、トランプの主張する不法移民排除や反自由貿易の情念と結びついても不思議ではない。実際に、全米各地で筆者が聞いたトランプ支持者たちの声は、この種の憤懣に満ちていた。

引用元:『ルポ 漂流する民主主義』p109 著者 真鍋 弘樹 集英社

 

かつては中流にいたはずの自分がいつの間にか下流に落ちそうになっている。別に自分は何か間違いを犯したわけでもない、失敗をしたわけでもないのになぜこうなってしまったんだ?そう考えた時に人はそうなった理由を探すわけですが、それを外部に求めてしまうことがあります。

 

そこでそれは移民のせい、グルーバル経済や企業のせい、既得権益を持つやつらのせいだ!という分かりやすいメッセージをズバッと掲げる人間が出てきたらどうでしょうか?

 

そうか、そうだったのか・・・。我々がこうなったのは、外部に原因があったのだ。それを指摘してくれて、解決すると言ってくれたあいつを支持するぞ!!トランプが登場する以前からアメリカ国民が抱えていた不満が、彼の登場により一気に表に出てきた。それが誰もが予想しなかったトランプ大統領誕生につながったと言えるわけです。

 

そして、このトランプ大統領誕生のような流れがアメリカだけでなく世界中で起きている。著者の真鍋さんはイギリスやオーストリア、スペインといった国を訪れて実際に現地の人たちや有識者と話す中で、その類似性を実感していいきます。

 

これがね、また驚くぐらいに各国ともに状況が似ているんですよね。主なキーワードを挙げると

 

  • 中流層の没落
  • 若者たちの不公平感
  • 移民に対する不満
  • 既得権益への不満
  • 格差と貧困

 

そして、これらの問題は「○○のせいである!!」と敵を作って、「自分たちこそこの状況を打破できる!」と人々に訴えかけて支持を得る。

 

著者はまるでカーボンコピーのような現実と書いていますが、まさに各国で似たような状況になっているわけです。皆多少の違いはあれどおんなじやり方じゃんというのがわかるんですね。

 

で、ここで知っておきたいのが「ポピュリズム」という言葉です。ポピュリズムとは大衆迎合政治とかするみたいに訳されます。つまり、大衆にとってウケのいい政治というわけです。

 

もちろん、大衆が求めることを実行するという点において、必ずしもポピュリズムが悪いとは思いません。人々の不満や悩みの声を受け止め解決策を提示するのは政治の役割のはずです。ただ、このポピュリズムは時に一般庶民への影響力をもたらすための手法として活用されてしまうことがあるわけです。

 

カリスマ的な政治指導者が、政党や議会などを経ずに、幅広い有権者に直接訴えるスタイルを採る。その指導者は、門外漢や異端者、アマチュアといった立ち位置を鮮明にして、「一般庶民の味方」であることを演出する。

腐敗した既存勢力(エスタブリシュッメント)、政治エリートや特権層を批判するのも、ポピュリズムに見られる共通項だ。多くの場合、社会のタブーを破ることで、注目を集め、敵である「やつら」と味方である「私たち」を明確に切り分けて支持を得る。

引用元:『ルポ 漂流する民主主義』p160

 

この手法はまさにトランプ大統領や、欧州の政権、政治家たちがやってきた手法であるわけです。敵と味方を明確にし、「我々はあなたの味方ですよ」と訴えかけることで、不満や困難な状況にある人たちは彼らを支持することになります。

 

では、どうすればいいのか?

ここまでで、世界各国で起こっている問題の共通点についてなんとなく理解してもらえたかと思います。ただ、問題がわかったところで、「じゃあ、どうすればこの問題は解決に向かうのか?」を考えなければなりません。

 

人々が不満や不安を抱えてしまう多くの理由は、格差や貧困の問題が特に大きいです。先進国ではアメリカもそうですが、日本なども徐々に中流層が薄くなる中で、仕事がなくなる、生活ができなくなるなどの不安を抱え、それがポピュリズムがの躍動を許してしまう。

 

であるならば、やはり行き過ぎた格差や貧困には対処していかなければいけません。そこで、本書では「再分配」の重要性について語っています。

 

僕も基本的には再分配をしっかりやっていくことに賛成です。格差があるのはしかたがありませんが、少なくとも人々が安心して生活をできる社会基盤を築かなければなりません。弱者を踏みにじりその上で強者がふんぞり返るような世界をみたいと思う人は少ないでしょう。

 

ただ、再分配に対しては拒否感も強いわけです。この国でも生活保護を受ける人へのバッシングなどがありますよね。

 

そこで、本書が提案していたのがナショナリズムを活用することです。

 

「えっ?ナショナリズムっていわゆる愛国心的なやつでしょ?それはちょっと違うんじゃないの?むしろ差別とかもっと分断されちゃうんじゃない?」

 

こんな風に考える人もいると思うんですよね。僕もぶっちゃけたことを言えばナショナリズムに対してはいいイメージを持っていませんでした。なぜなら国のために尽くして命を捧げることを半ば強制された戦時中のことや、ヘイトスピーチなどを行う排外主義者の人たちをイメージしてしまうからです。

 

ただ、本書を読んでちょびっとナショナリズムに対する考えが変わりました。なぜかというと、著者が国民国家の研究の第一人者であるベネディクト・アンダーソンにインタビューした時に彼が語っていたことを読んでなるほどなと思ったからです。

 

アンダーソンはこんな風に語ります。

 

「ナショナリズムは本来、未来志向なものだ。私たちは、国民国家があるからこそ、未来のため、まだ生まれもしていない子たちのために行動することができる」

引用元:『ルポ 漂流する民主主義』p205

 

「人々が黒人の権利や同性愛者の権利を認めた時、『彼らだって同じアメリカ人なのだから平等に扱わなければ』と考えたはずだ。国民という概念が、こんな考え方を可能にする。ナショナリズムは、人種差別や性差別を乗り越えることができる」

引用元:『ルポ 漂流する民主主義』p205

 

僕らなら「同じ日本人なのだから、性別が違おうが、障害を持っていようが平等に扱おう」と考える。本書ではこれを「平等主義的なナショナリズム」と言っています。この平等主義的なナショナリズムであれば、抵抗感のない人もだいぶ増えるんじゃないかと。ああ、そういうくくり方ならポジティブだよねって思う人もいると思うんですよね。少なくとも僕はいい考え方だなと思いました。

 

この考え方であれば、人びとは排外的にならずにすむだろうし、他者への優しい気持ちや共感性を元に再分配に対して抵抗感を持つ人も少なくなるんじゃないかな?

 

また本書では、このような問題には人々がつながりを持つことが大切であるとも書いています。

 

「トランプ支持者の特徴は、社会的なつながりが乏しい人たちだということです。社会資本(人と人とのつながり)が欠乏した地域であるほど、トランプ支持が強い傾向が米メディアで指摘されている」「人は孤立すると、他人への寛大さや他人と自分が平等という意識が低くなる。これは米国にと球のことではない」

引用元:『ルポ 漂流する民主主義』p211

 

孤立は他者への寛大さや平等意識を低くさせる。そして、それに加えて格差や貧困も加わってくるとなれば、さらに他者を攻撃するようになってしまうというわけですね。

 

かつてはよくも悪くも村や会社など、コミュニティの中でつながりを持ち生きていくというのが当たり前の世界でした。でも、今は会社への帰属意識が低い人も多いし、核家族化や一人世帯も増えて隣の人の顔すら知らない、地域のコミュニティなどに入る気もない人も増えているように思います。

 

そうした中で、個々人がつながりを持てる場が必要ですよね。多少貧乏でも人と繋がって自分を認めてくれる場所があれば、他人を攻撃しにくくなる。

 

僕は日本の事情しか分かりませんが、ここ最近であればシェアハウスなんかはまさにそういう人と人がつながる場ですよね。個人的にはそういう場がもっと増えてほしいと思っています。

 

まとめ

そんなわけで、今回は『ルポ 漂流する民主主義』という本を読んで、僕が学んだ事や共有しておきたいことなんかを書いてみました。

 

今後の世界がどうなるのかは誰にもわかりません。ただ、今後もますますグローバル資本主義は勢いを増してくるでしょう。それ自体は避けることができないとは思います。ただ、ここまで見てきたように、それが人々にさらなる格差や貧困、孤立を生み出すことになるし、そうなればますます人々は分断していってしまうはずです。僕は人々が互いを敵と思い、対立し分断されるような世界を望まないし、多くの人もそうだと思っています。

 

じゃあ、そうならないためにはどうすればいいのか?なぜ、人々は分断されてしまうのか?そういう知識を得るために、本書は非常に参考になる一冊だと思うのでぜひ一度ご覧になってみてください!!

 

それでは今回はこの辺で。