オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

タダでお金を配っても人は怠け者にはならない

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最近ベーシックインカムについてあれこれ記事を書いています。ベーシックインカムについてあまり知らない人は↓の記事でざっくり説明しているので読んでみてください(^^)

 

参考記事:ベーシックインカムで働く意欲は低下しない - ニート気質な僕の生きる道

 

まぁ、ベーシックインカムっていうのはものすごくざっくりいうと「最低限暮らしていけるだけのお金を全国民に無償で配ることで生活を保障しましょう。」っていう仕組みのことです。

 

ちょっと前まであまり現実味がなかったんだけど、実際に機械化によって今後仕事がなくなるなどの問題もあり、欧米などでは導入が検討されていたり一部の地域では実験的に導入していたりもします。

 

そんでこのベーシックインカムを導入しようとするとなると、結構反対意見が出てきます。例えば「タダでお金なんて配ったらみんな怠け者になるだろ!!」っていう意見です。

 

ベーシックインカムによって働いても働かなくても最低限度の生活は保障される。そうなると怠ける人が出てくる可能性はもちろんあります。だけどそれはあくまで想像でしかありません。

 

なぜなら日本ではまだベーシックインカムが導入された例がないからです。具体例があって実際にみんなが怠けてなにもしなくなったという結果があるならその主張も分かります。だけど実際にはそんな例はないわけです。なのになんでみんな怠けるってことが言い切れるんでしょうか?それが僕にはそれが不思議で仕方がありません。

 

海外にはタダでお金をもらっても怠けなかった例はたくさんある

「じゃあ、タダで金配って人が怠けないっていう具体例を出してみろよ!!」という方もいると思うので、いくつか事例をご紹介しましょう。

 

これは『隷属なき道』というベーシックインカムについて書かれた本に掲載されていた実験です。

 

ロンドンのホームレスにタダでお金を配った事例 

2009年にロンドンの男性ホームレス13人にフリーマネーを給付することになりました。その額は3000ポンド。当時のレートではないですが今だと大体45万円といったところです。もちろん、見返りは何もなしです。ホームレスの人たちはそのお金を自由に使うことができるわけですね。この実験結果は驚くべきものでした。

 

「正直なところ、それほど期待していなかった」とあるソーシャル・ワーカーは後に回想した。だが、浮浪者の希望は実にまともだった。電話、辞書、補聴器ーそれぞれ、自分に何が必要かをよく知っていた。そして彼らの大半はきわめて倹約家だった。一年後に調べたところ、三〇〇〇ポンドのうち、平均で八〇〇ポンドしか使っていなかったのだ。

 引用元:>隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働 著者 ルトガー ブレグマン 文藝春秋

 

読者の方の中にはホームレスの人たちについて怠け者であるとか、堕落者だという考えを持つ人もいるかもしれません。ですが、彼らの大半は必要最低限のお金を与えさえすればそれで自分の生活を立て直す方向に向かうという結果が出たわけです。

 

さらに驚くことにこの実験の中にはなんと20年にわたってヘロインの使用をしていた人がいたのですが、彼ですらそのお金を使い身ぎれいにしてガーデニング教室に通うという前向きな方にお金を使い始めたんです。僕はこの結果を見た時「すげぇぇ!!」と思ったし、タダでお金を配ることが困難な状況にいる人たちにとって解決策の一つになるのではないかと思いました。

 

もちろん薬物などの依存症の場合には、専門的な治療が必要ということは付け加えておきます。

 

実験開始から一年半後には、十三人の路上生活者のうち七人が、屋根のある生活をするようになっていた。その他には二人が、アパートを借り、そこへ移ろうとしていた。そして十三人全員が、支払い能力や個人的成長へと繋がる重要な足掛かりを得ていた。彼らは受講登録をし、料理を学び、リハビリをし、家族を訪ね、将来の計画を立てていた。

 

このように最終的には十三人全員が、それまでよりも何かしら前向きな方向に進むことができたわけです。

 

ちなみに、この結果を見て「コストはどうなんだ!?ものすごいお金がかかったら意味がないだろ!!」と思う方もいるでしょう。これについてもいい結果が出ています。

 

もともと実験に参加したホームレスの人たちのために毎年四〇万ポンド以上の公金が使われていました。(警備費、訴訟費用、福祉費など)一回じゃないですよ。毎年ですからね。

 

しかし、実験をはじめて彼らに一人ずつに配ったのは三〇〇〇ポンドだけです。全員分でも十三(人)×三〇〇〇(ポンド)=三万九〇〇〇ポンドですね。毎年四〇万ポンド以上かかっていたのが一回の三万九〇〇〇ポンドで彼らの問題は劇的にいい方向へと向かったわけです。かかった費用は約10分の1です。どうでしょうか?お金を配っても怠惰にならず、社会にとってコスト面でもこれだけお得なわけですからフリーマネーの有効性は明らかなのではないでしょうか?

 

ケニアやウガンダの事例

他にもいくつかの事例があります。西ケニアにすむバーナードいう青年たちの話。彼は一日二ドルで生活をする生活を送っていました。そんな彼の銀行口座にある日、五〇〇ポンド が振り込まれたのです。バーナードにとってそれは一年分の稼ぎとなります。

 

数か月後にニューヨークタイムズの記者が彼の村を訪れた時に人々は一体なににお金を使っていたのでしょうか?酒?ぜいたく品?いやっ、違います。彼らは自分の家を修繕し、各々で小規模なビジネスを始めていたんです。

 

バーナードはあの金で新品のインド製のバジャジ・ボクサー・オートバイを購入し、バイク・タクシーの運転手として日に六~九ドルを稼ぐようになっていた。彼の収入は三倍以上になった。

 

貧しい人はきっと無駄なことにお金を使うに違いないと思っていた方は驚いたのではないでしょうか?彼らは配られたお金を実に有意義に使っていたわけです。お金をもらったことで怠けるどころか、収入を増やしてより生活の質を向上させたわけです。これって素晴らしい事だと思いませんか?

 

またウガンダでも同じような事例が報告されています。

 

二〇〇八年、ウガンダ政府は、十六歳から三五歳の一万二〇〇〇人に、およそ四〇〇ドルを与えることを決定した。全て自由に使っていい。求められるのは、ビジネス計画を出すことだけだ。五年後、効果は驚異的だった。人々はその金を自らの教育やビジネスに投資し、結果として収入がおよご五〇パーセント増えた。雇用率も六〇パーセント超増えていた。

 

このように世界各地で行われた研究によって、タダでお金を配ることで人々は怠けるどころか、自分自身で「何が必要か」を考えそのためにお金を使います。ある者は教育を受けあるものはビジネスを始めたりととても有効にお金を使うことが証明されてきているわけです。

 

また『ランセット』という医学雑誌でも貧しい人たちがタダでお金を受け取ると前よりも仕事に精を出すようになると結論付けています。どうでしょうか?想像だけで「タダで金なんか配ったら怠けるに違いない」という意見よりもこれらの実験の方がよっぽど説得力はあるでしょう。

 

怠ける可能性があるとすれば、生活するには十分すぎるほどのお金を与えた場合

これまで紹介してきた事例によって、「タダでお金を配っても人は怠け者にならない」というのはある程度納得していただけたかと思います。ただやり方次第では怠け者が多くなる可能性もあるかもしれない。それはどういう場合かというと「生活するには十分すぎるほどのお金を与えた場合」です。

 

仮に今の日本で20万とか30万とかの支給額になったとしたらどうでしょうか?おそらく、働かなくてもよっぽどの贅沢をしなければ生きていけるだろうし、それなりに豊かな生活を送れます。この場合多くの人は働かないでしょう。あくまで予想ではありますが余裕がありすぎれば怠ける人は増えると思います。

 

ただ覚えておいてほしいのはベーシックインカムは最低限の生活を保障する程度の金額を人々に渡すものです。先述したように色々な書籍や専門家の意見を見てみると大体月に7~8万(これが全てではない)と言われています。これだと多くの人は余裕がありませんよね?確かに生活は出来るけど、もう少し豊かな暮らしをしたいという人がほとんどのはず。だから多くの人は怠けることなく何らかの仕事に就くはずです。

  

つまり、配るお金の金額次第というわけですね。でも実際にはみんなに20万を配るのは実現可能性が低いわけですから、「タダでお金を配ったらみんな怠ける」ということはまずないはずです。

 

まとめ

というわけで今回はベーシックインカムと絡めて「タダでお金を配っても人は怠け者にならない」ということを具体例を交えてお伝えしてみました。

 

今回お伝えしたように他国では実際にタダでお金を配って有効に活用された事例が山ほどあります。ですからベーシックインカムを導入すれば日本でも同じようなことが起こる可能性は十分にあり得ます。

 

とはいえ、日本ではまだ実際にベーシックインカムが導入されたわけではありません。だから、他国の例はあるけども実際にどうなるかは分からないわけです。それではいつまでたっても机上の空論で終わってしまいます。だからこそ、国内でも早く実験的に導入してみて人々が何にお金を使うのか、行動はどうなるのかを検証してみてほしいなと思っています。

 

あと多少話は変わりますが個人的には

 

「仮に怠ける人がいても社会が回るんならそれでいいんじゃね?」

 

というのが僕の考えです。実際これまでの歴史を見たってどの時代にも怠け者とかプラプラとしていた人というのはいたはずだし、それで社会も問題なく回っていたでしょう。逆にみんながみんなフル稼働している社会は余裕がないし、何かイレギュラーなことがあったらパンクしてしまいます。何でも多少のあそびがあることが大切なのではないでしょうか?

 

まぁ、何にせよ日本でも導入実験をしてみるべきですね。今のところホリエモンこと堀江貴文さんのサロンではベーシックインカムを自主的に取り入れて、対象者がそれでやりたいことに全力を注げているなんて結果も出ているみたいです。ただまだまだデータが足りないのが現実だと思うので、今度は自治体やある一定の地域などもっと規模の大きい導入実験をしてみてほしいななんて思っています。

 

ベーシックインカムについてもっと知りたい方は↓の本がわかりやすいので、興味があればぜひご覧ください♪(図書館でも借りれると思います)

 

 

それでは今回はこの辺で失礼します!