オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

『うつ病とサッカー』ドイツ代表にまでなったGKはなぜ自ら死を選んだのか?

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久々にブログで本を紹介します。紹介するのはうつ病によって、自殺にまで追い込まれてしまったサッカー選手の人生を綴った『うつ病とサッカー』という本です。

 

サッカー選手の名前はロベルト・エンケ。亡くなったのはもう10年以上も前のことなのでご存知のない方も多いでしょう。彼は29歳とやや遅咲きながらもGK大国ドイツで代表GKにまで選ばれた実力者です。本書はそんなトップアスリートであったエンケが選手として一人の人間としてうつ病と戦い抜いた人生をたどることで、「うつ病とともに生きるとはどういうことなのか?」を僕たちに教えてくれています。

うつ病の恐ろしさや強さを知ることができる 

本書を読んでまず思ったのはうつ病は甘く見ると生活に多大な支障をきたすし、場合によってはエンケのように命を落としてしまうこともある恐ろしい病気であるということでした。僕はこれまでうつ病になったことはないけれどうつなどの精神疾患に関する本はいくつか読んでいて知識であったり、なんとなくのイメージはついていたんですね。でも、自分自身はなったことがないのでまだどこかでその恐ろしさや強さについてぼんやりとした感覚を持っていたのです。でも今回この本を読んでエンケがうつ病と付きあい苦しんだ人生において何を考えどういう日々を過ごしたのかを追体験することで、うつ病や精神疾患の恐ろしさや強さを感覚的に知ることができたと思っています。

 

本書には実に事細かにエンケの人生が綴られています。彼の少年時代の話、エンケの性格、選手としての活躍、家族との関係や妻テレサとのなれそめ、彼に降りかかってきた悲劇の数々、うつとの闘いや死に向かうまでの過程など、ロベルト・エンケという人を色々な角度から描くことで彼を知らない人でも彼についてある程度知ることができる。それによってエンケという人の人生をより身近に感じられるんです。だからこそ読んでいてこちらも心が揺さぶられるし辛くなってくるんですよね。彼の苦しみに感情移入してしまって。でも、だからこそ他人事としてではなく捉えられるし、うつ病というものの恐ろしさをしっかりと感じ取ることができるのだと思います。

 

うつ病を知ることから始めよう

僕らは未知のものや知らないものをスルーしてしまったり、あるいは過剰に恐れ距離を置いたり思い込みや偏見によって「どうせ○○だろ」と決めつけてしまったりします。うつをはじめとした精神疾患に関してもぱっと見ではわかりにくいですし、身近に闘病している人がいなければなかなか知る機会もないかもしれません。

 

僕は常々思うのですがそういう時に大事なのって「知ろうとすること」だと思うんですよね。思い込みで決めつけるのでもなく、みて見ぬふりをするのでもなくまずは知ろうとすることから始めてみる。知らないことは別に悪くないんです。自分は知らないなということを認識した時点で知ろうとしないことが問題なのではないかなと。それは自分の都合のいいことしか受け入れない姿勢に繋がります。それでは自分の世界は非常に狭く窮屈なものになってしまいます。

 

特に精神疾患については何となくのイメージで決めつけてしまっている人っているじゃないですか。甘えじゃないかとか、弱いから精神を病むんだみたいなじゃあその甘えの根拠とか精神が弱いからなる根拠ってどこにあるの?って話ですよね。それ、単にあなたが信じたいだけなんじゃないですかと。ちゃんと調べたんですかと。ドイツ代表のGKにまでなったロベルト・エンケという人がはたして弱かったのでしょうか?むしろ、うつ病を抱えながらも代表のGKにまで上り詰めたエンケは強い人だったと言えるのではないでしょうか?少なくとも「うつは甘えだ」と切り捨てる人よりは圧倒的に強いと思います。本書を読んだら口が滑っても「うつ病は弱いものがなる病気だ」なんて言えないはずです。

 

そうした思い込みとか根拠のない決めつけみたいなものから解き放たれるためにはまず知ろうとすることから始めるべきです。そして本書のようなうつと闘った人の人生に触れることはうつや精神疾患に関して知るためのきっかけとなるはずです。

 

まとめ

今回は『うつ病とサッカー』という本を紹介してみました。本書を読むことでうつ病だけでなくアスリートのこと、サッカー界のこと、アスリートとメディア、アスリートとファンのことなど様々なことについて知るきっかけになると思います。500ページ超とやや長いかもしれませんが、エンケの人生をたどることで何か感じられるものがあるはずです。興味がある方はぜひ一度読んでみてください。