オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

若林正恭さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』の感想を書いてみた!!

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以前にオードリーの若林さんの『社会人大学人見知り学部卒業見込み』という本を読んで「この人の文章、心地いいしおもしろいなぁ」って思っていたんですね。

 

参考記事:完全版 社会人大学人見知り学部卒業見込みはクスッと笑える一冊でした♪ - ニート気質な僕の生きる道

 

その若林さんが『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』という本を出されました。本作は若林さんがキューバを訪れた際に体験したことや感じたことを綴った一冊です。今回はこの本の感想を書いてみたいと思います♪

 

若林さんがキューバに行こうと思った理由

2016年の夏。幸運にも5日間の夏休みをとることができた若林さん。彼は念願のキューバ旅行に行くために準備を始めます。

 

でも、疑問に思いませんか?「何でキューバなの?」って。だって世界中にバカンスできる場所って沢山あるし、魅力的な国だってたくさんあるわけじゃないですか?それなのに何で若林さんはわざわざキューバを選んだのでしょうか?それには明確な理由がありました。

 

新自由主義。

ぼくは20代の頃の悩みを宇宙や生命の根源に関わる悩みだと思っていた。それはどうやら違ったようだ。人間が作ったシステムの、一枠組みの中での悩みにすぎなかったのだ。「ちょっと待って、新自由主義に向いてる奴って、競争に勝ちまくって金を稼ぎたい奴だけだよね?」

引用元:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』p31~32 若林正恭 KADOKAWA

 

若林さんはニュース番組を全く理解できないのが恥ずかしかったらしく、東大の大学院生の家庭教師を雇ったんだそうです。そこで、色々なことを学ぶうちに戦後の日本経済に興味を持ち、格差社会のことや新自由主義とはどういったものなのかを知ったそう。その過程で彼は「自分が今まで悩んでいたのは現在の経済のシステムの中でのことだったんだ。」ということに気づくわけですね。

 

ここからが面白い。そうか、自分たちはそういう経済のシステムの上で生きているということはわかった。じゃあ、「別のシステムの上で生きている国や人たちはいないのか?」と彼は考えるんですよ。そこで見つけたのがキューバという国でした。(キューバは社会主義)

  

キューバを楽しむ旅行記でありながら‥‥‥。

そんなわけで、若林さんは自分たちとは違うシステムを体感するためキューバに旅立ちます。とはいえ今回の旅は「資本主義と社会主義について勉強して帰るぞ」といった堅苦しい旅行というわけでもありません。彼にとっては初めてのキューバ旅行なので、バカンスも楽しみつつ、キューバの人々の生活に触れながら資本主義と社会主義の違いについて考えるという感じですね。

 

なので、基本的に若林さんはガッツリキューバを楽しんでます。観光地もめぐるし美味しいものも食べるし、葉巻を吸ったりともう文章からもキューバを楽しんでいる感じがありありと伝わってくるんですよね。この本読みながら「いいなぁ。キューバ楽しそうだなぁ」って普通に思いましたもん。僕もキューバ行ってみたい。

 

キューバ人のガイドが実は‥‥‥

ただ、さすが芸人さんですね。きちんとハプニングとか笑えるネタも持ってくるところはさすが。僕が思わずクスッとしてしまったのはこんな場面。

 

若林さんはキューバに着いた次の日にガイドを雇って観光する予定でした。ファンの方なら知っているかもしれませんが、若林さんは元人見知り。今でこそだいぶ克服はされているようですが、決してハイテンションなキャラではありません。

 

その一方でキューバの国の人たちというのは、テンション高い人が多いイメージじゃないですか?実際僕が以前に読んだ『世界の果てでも漫画描き』というヤマザキマリさんの作品にも陽気なキューバの人たちがたくさん登場します。

 

元人見知りとハイテンションガイド。僕はそんな構図を予想し「きっと面白いやり取りが見れるんだろうなぁ」なんて思いながら読み進めていました。若林さんがハイテンションに圧倒されるみたいなそんな場面。ところが事態は予想外の方向に進むんですね。

 

若林さんが雇ったガイドさんはマルチネスさんという方です。彼は日本語がとてもうまく若林さんに対しても普通に日本語で話しかけてきます。お互い軽く挨拶をすませ目的地である革命博物館まで歩き始める二人。

 

歩き始めたら明るいノリで矢継ぎ早に質問が飛んでくるだろうと身構えていた。

引用元:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』p64 若林正恭 KADOKAWA

 

こう書かれているように、若林さんはハイテンションなキューバ人ガイドのノリにちゃんと対応しようと考えていたわけです。

 

ところがですね。このマルチネスさんがまぁ話さないんだ。若林さんが質問をしても無言でうなずくだけ。もしくは一言、二言返すだけなんです。いやっ、ちゃんと街とか建物の歴史とかは説明してくれるんですよ。その時は流暢な日本語でちゃんと話してくれるんです。でも、それが終わるとまた無言になってしまう。そんなやり取りを何度か繰り返していくうちに若林さんはあることに気づくんですね。

 

「マルチネス、人見知りだわ」

引用元:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』p66 若林正恭 KADOKAWA

 

まさかの人見知りのガイドさんですよ(笑)元人見知りの若林さんと人見知りのキューバ人ガイド。ラテンのノリの人たちの中に人見知りの気質を持つ二人が一緒にいるっていうその構図ね。きっと若林さんも肩透かし食らっただろうなぁなんて思うと思わずクスッとしてしまったというわけです。

 

若林さんが社会主義を感じた場面

そんな面白い出来事もありつつ、キューバを楽しむ若林さん。特にキューバの景色には惹きつけられるものがあったようです。その理由について考えてみたところ、彼はこんなことに気づくんですね。

 

広告がないのだ。

社会主義だから当たり前といっちゃ当たり前なのだが、広告の看板がない。ここで、初めて自分が広告の看板を見ることがあまり好きではないことに気づいた。東京にいると嫌というほど、広告の看板が目に入る。それを見ていると、要らないものも持っていなければいけないような気がしてくる。必要のないものも、持っていないと不幸だといわれているような気がぼくはしてしまうのだ。

引用元:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』p103 若林正恭 KADOKAWA

 

社会主義国には広告がない。これはなるほどなーと思いました。

 

資本主義社会に生きる僕たちはものを買ってお金を消費することを前提とするシステムに暮らしています。当然物を売るためには「ここに○○がありますよ。」とか「こんな風に役立ちますよ」といった広告を出して宣伝をしなければなりません。ちょっと街に出ればいつの間にか僕らは広告を目にしていて、それを当たり前のものとして生活をしているわけです。

 

いまや広告がない街並みって想像できませんよね?日本だったら、よほどのド田舎にでも行かない限り、道路にも広告の看板が立っていたりするし、大都市はさながら広告合戦とでも言わんばかりに、あらゆるものやサービスの広告であふれかえっています。

 

仮に新宿と渋谷から広告が一切なくなったらどうなるのかな?この本を読みながらふとそんなことを思ってしまいました。きっとすんごい違和感があるんでしょうね(^^;まぁ、日本が社会主義になることはまずないだろうから、この疑問が解消されることはおそらく一生ないとは思うけど‥‥‥。

 

 

若林さんがキューバにきた本当の理由とは? 

キューバにきたのは「違うシステムを見るため」と冒頭で僕は書きました。実際若林さんもそういう考えでキューバを訪れました。ただ実は若林さんにはもう一つこの国に来た別の理由があったんです。

 

ただ、これはもうね「ぜひこの本を読んで確認してほしい」としか言えません。読めばきっと「そういうことだったのか‥‥‥」と驚くとともに納得もする理由が書かれています。僕は最期の数十ページを読みながら「若林さんは色々な思いを背負ってキューバという国へ行ったのだなぁ」と思ったし、彼がキューバにきた本当の理由を知ってすんごく心を揺さぶられました。

 

まとめ

そんなわけで今回は若林正恭さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を読んだ感想を書いてみました。

 

若林さんの文章は非常にわかりやすくかつ芸人さんならではのユーモアさも含まれており非常に読みやすいのでオススメです。

 

旅行記としても楽しめるし、エッセイとしても楽しめる。そして若林さんの思考に触れることで色々なことを考えるきっかけになる一冊だと思います。興味がある方はぜひご覧になってみてください。

 

それでは今回はこの辺で失礼します。