オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』働くことに悩む人の視野を広げてくれる一冊

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今の社会、自給自足の人もいなくはないですが、基本的に生きていく上でお金は欠かせませんよね。お金を得るためにパッと思いつくのは「働く」ということでしょう。そして、働くとするとどこかの会社に就職するというのが割と一般的な考え方かなと思います。

 

ところが、今インターネットやSNSなどを覗いてみると、就職や働くことについての「就職しても続かない」「自分は一体なんで働いているのかわからない」など苦悩に満ちた個人の叫びが溢れているように思います。僕自身も就職や働くということに対して壁にぶち当たっている人間の1人です。

 

そこで、今回は就職や働くことで悩む人たちの視野を広げてくれて、「これからどんなふうに働いていけばいいのか」を考えるヒントになる一冊を紹介してみようと思います。それがこちらです!!

 

 

 

著者の岡田さんは、ご自身のYouTubeやニコ生のチャンネルで、アニメや漫画、映画などのエンタメから社会の様々な事象まで解説する博学の方です。また、これからの社会の流れについて書かれた『評価経済社会』は今の社会を見事に予測した一冊となっており、とても参考になる一冊です。

 

本書は、そんな岡田さんが今の社会の就職状況を踏まえつつ、「これからどんなふうに働いていけばいいのか」を提案しています。

なぜ、就職がしんどいのか?

岡田さんは、まず「どうして就職がしんどい状況になってしまったのか」を簡易に説明していきます。本書から引用すると以下の3点が主な理由です。

 

①企業の平均寿命が五年を切り、これからずっと安泰な会社が存在しない(公務員も安心ではない)つまり「半年先の未来がだれにも予測不能」だから。

②新人を雇って仕事を教える余裕がない。面倒な仕事しかもう残っていない。いま固定給を払っている人たちでやりくりするので精いっぱいだから。

③怖くて人が増やせない。新しいアイデアが出てくるたびに一つの産業や業態がつぶれたり、もしくは会社の売上が半減したりするから。

引用元:『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』(2014)PHP研究所、岡田斗司夫、

 

かなりざっくりまとまると、グローバル化やネット社会の到来により、企業の先行きは一気に不透明になりました。もっと言ってしまえば企業だけでなく、業界そのものが一気になくなる可能性もある中、企業としてはたくさん人を雇って育てる余裕などない状況です。すると、新人は増えず残っている人にしわ寄せが来るので、企業の中で働く人たちもしんどいというわけです。

 

もちろん、就職というものがすぐになくなるというわけではないでしょう。この本が出たのは2014年ですが、2022年現在でも企業は高卒、大卒の新入社員を採用していますし、中途採用も行われていますよね。ただ、粉飾決算を行った東芝やオリンパスのような例もありますし、鴻海(ホンハイ)に買収されたシャープのように栄華を誇った企業が、他の企業の傘下になるような時代です。かつてのように大きな企業に入れば安泰というわけではないというのは、なんとなく肌感覚で理解できるのではないでしょうか。

 

僕らは先行きの見えないとても不安定な社会を、これから生きていかなければならないということです。これは日本だけではなく、他の先進国でも同じ傾向にあると思います。

 

どんなふうに働けばいいのか?

では、そんな不安定な社会で僕らはどんなふうに働いていけばいいのでしょうか?岡田さんは「お手伝い」のサーフィンをしろと言います。これは一体どういう意味なのでしょうか。

 

サーフィンとは波乗りですよね。つまり、波乗りをするように次々に色々な仕事をやってみるということです。企業の先行きは不透明、それどころか業界そのものが数年後には無くなっているかもしれない不安定な社会で、一つの仕事にしがみつくのは危険です。であれば、仕事がなくなるのを前提で色々な仕事に手を出してみる。

 

仮に一つの仕事がなくなっても、他に幾つもの仕事を持っていれば、すぐに行き詰まることはありません。また、変化の激しい時代には数年前まで聞いたこともないような仕事や、「これ仕事って言えるの?」と疑問に思うようなものも次々に出てくるわけです。その時、既にその仕事をしていたとしたら先行者利益に結びつくなんてこともあるでしょう。

 

ユーチューバーなんかはまさにその典型例ですね。10年前にユーチューバーと言われても、「それって仕事なの?」という感じで多くの人がピンと来なかったでしょう。でも、その時から動画を上げ続けてきた人たち、例えばHIKAKINさんのような人たちは、先駆者として今やテレビタレントを凌駕する勢いの知名度があり、お金を稼いだりしています。

 

もちろん、これだけ不安定で変化が激しい時代です。次にどんな仕事が来るのかを予測することはできません。「この仕事きそうだな」と狙いをつけても外れることはザラにあります。だからこそ、お手伝いサーフィンをして、興味を持ったり、いいなと思った仕事を試しに色々やってみるというわけです。

 

ちなみに「お手伝いサーフィンって、実際にはどれぐらいの数の仕事をすればいいの?」と思う人もいるでしょう。岡田さんは「50個の仕事を同時にしよう」と提案します。50個ってちょっと多いですよね。俺もそう思いました(笑)

 

ただ、その内訳は必ずしも全てが稼げる仕事である必要はありません。先ほどもお伝えしたように、いろいろな仕事に手を出すわけですが、中には稼げる仕事もあれば稼ぎとしてはビミョーだったり、あるいは単に食事を奢ってもらったり交通費だけ、あるいは自分がお金を払って経験を積むだけのようなものもあります。それら全てをひっくるめて仕事なんですね。

 

1つの仕事、1つの業界だけというのは今後は難しい。これからは、既存の価値観からの転換、脱却を図る必要がありそうです。

 

まとめ

今回は岡田斗司夫さんの『僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない』の内容の紹介と、僕の感想をお伝えしてみました。

 

就職について悩んでいる方や、これからどう働いていこうか迷っている方には参考になる一冊だと思いますし、既存のキャリア本とは違う視点を得られると思います。地域によっては図書館なんかでも借りられると思うので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

 

 

 

参考サイト

[粉飾決算]とは? 企業が不正会計に走る理由と実態:日経ビジネス電子版

【2021年8月更新】東芝事件の全貌とは?事件の経緯と関連ニュースを時系列でまとめてみた | 公認会計士ナビ 会計士・監査法人業界専門WEBメディア