オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

『中高年ひきこもり』ひきこもりに関する知識を幅広く教えてくれる入門書!

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長年ひきこもりの問題にかかわり続けてきた精神科医の斎藤環先生が、『中高年ひきこもり』という本を出されたので読んでみました。

 

斎藤先生はこれまでにも、『社会的ひきこもり 終わらない思春期』(PHP新書)や『ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか 』(岩波ブックレット) といったいくつかひきこもり関連の本を出しています。僕はいくつかそれらの本を読んでいるので、それらの本とこの『中高年ひきこもり』を比べてみると、今回の本は圧倒的にわかりやすい、

 

巻末の斎藤先生のコメントに今回は語りおろしに近い進め方をしたと書かれていますが、それが功を奏していますね。ひきこもり系の本って扱う内容からして固い内容になりがちなのですが、この本に関して言えば斎藤先生から直接講義を受けているようなそんな感覚で一気に読み進めることができました。ここからはより詳しく本の紹介をしていきます。

ひきこもりを知りたい人、知ってほしい人におススメ!

斎藤先生はこの本の冒頭でこんな風に言っています。

 

関心が高まり、報道の量が増えれば、ひきこもりに対する誤解や偏見なども広がりやすくなります。その意味でも、新しい入門書が欠かせません。

引用元:『中高年ひきこもり』p8  著者 斎藤 環 幻冬舎

 

先生がおっしゃる通りこの本はまさに「ひきこもりの入門書」と言っていいでしょう。

 

では、この本では一体どんなことが学べるのか?どれもひきこもりを知る上で大事ではあるのですが、特に知っておいてほしいのは「ひきこもりに関する誤解」「ひきこもりの家族の対応のヒント」といったところです。

 

ひきこもりの誤解を解こう!

特にひきこもりについてあんまり知らない人に読んでほしいのは、「ひきこもりに関する誤解」の部分かな。本書ではひきこもってる人に対する誤解を10個に分けて斎藤先生が解説しています。誤解や偏見って「よく知らないのにイメージだけで思いこんじゃってる」ってケースがけっこうあるんですよね。例えば「ひきこもりは犯罪者予備軍だ」みたいなことなんて典型的な誤解でしかないわけですけど、時々テレビでひきこもりの人が起こした事件がクローズアップされると、ひきこもりは危険だと思い込んでしまう。よく調べれば必ずしもそうではないこともわかるはずなのに。

 

で、この誤解とか偏見の何が危険かっていうと、それによってひきこもりが傷ついたり、世間を恐れたりしてひきこもりから抜け出しにくくなるってことだと思うんです。冷静に考えてみてください。あなたがもしひきこもりの人だとしたら「お前犯罪者予備軍だろ?」といった誤解や偏見だらけのところにわざわざ出ていきたいと思います?嫌じゃありません?僕はすごく嫌ですね。もちろん、社会は誤解や偏見に満ちていてそれらを完全に取り除くことはできないかもしれない。でも、誤解や偏見を持つ人を少なくすることはできるのではずです。

 

あと、ひきこもりに関して誤解や偏見を持ってるのってけっこう身近にもいるんですよね。もしかしたらひきこもりの家族や、ひきこもり本人だってそうかもしれない。だからそういう人たちもこの本を読むことで、身近な人たちや本人自身の誤解も減らしていく。それがひきこもりの人たちが前進するためには必要なのではないでしょうか?

 

家族はひきこもりにどう対応する?

ひきこもりの問題を解決するために欠かせないのは、家族や第三者の協力です。特に家族はひきこもりの一番近くにいる存在であり、第三者との橋渡し的な役割を担うことも多いでしょう。

 

だけど、家族は別にひきこもりの専門家ではありません。単に、自分の家族がたまたまひきこもったというだけで、その解決策を知っているわけでもないんですね。だから、どう対応していいかよくわからない。すると、「将来どうすんだ!?」といたずらに不安を煽ってますますひきこもり本人との間に距離ができてしまったり、逆に全くノータッチで何年も放置みたいな対応になってしまったりするわけです。そういういたずらにひきこもりの問題をこじらせないためにも、本書に書かれている「家族はどう対応していけばいいのか?」の部分はとても参考になると思います。

 

もちろん、この本に書かれていることに従えば100%ひきこもりから抜け出せるなんて断言はできません。ただ、ひきこもりの問題に関して初心者と言っていい家族が行き当たりばったりで闇雲に対応するよりも、斎藤先生のように長年ひきこもり問題にかかわり、実際にひきこもりの人たちと対話し、ひきこもりから抜け出した人たちを多く見てきた人のアドバイスの方が、ひきこもりの人にいい影響を与える可能性は高いのではないでしょうか。

 

この本はこんな人向け!

  • ひきこもりを知りたいけど、知識があまりない人
  • ひきこもりの家族、親戚など近くにひきこもりがいる人
  • ひきこもりについて、「○○に違いない」という誤解や偏見を持っている人、もしくは近くにそういう人がいて誤解や偏見を解きたい人

 

専門書のような難しい文章ではないので、ひきこもり問題初心者でも読みやすく、大まかに「ひきこもり問題ってこういうものなんだな」と理解できるようになるはずです。

 

まとめ

今回は斎藤環先生の『中高年ひきこもり』という本を紹介してみました。人はわからないもの、見えないものに対して恐れを抱いたり「○○に違いない」とレッテルを貼ってしまいがちです。ひきこもりに関しても、本人たちの姿を見ることができない、なぜ彼らが家に閉じこもっているのかがわからないから、「あいつらは怠けてるに違いない」とか「いい気なもんだ」などと決めつけてしまうのでしょう。

 

「わからないものをわからないままにしない。」

 

そのためには人に会ったり、本を読むことがおすすめです。でも、ひきこもっている本人に直接会って話を聞くことは難しい。なら、ひきこもりについて書かれた本を読んでみればいい。この本は、まさにわからないひきこもりの存在をわからせてくれる一冊だと思っています。

 

ひきこもりのことをよくわからない人、わからないけど知りたいと考えている人は是非一度本書を読んでみてください。