オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』を読んで大切なことを学んだ

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僕がいつも見ているYouTubeの番組で、ラッパーのダースレイダーさんがオススメしていたのが今回紹介する『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』という本です。

 

 

内容はタイトル通りです。世の中にはナチスは戦争を起こしたり、ホロコーストでユダヤ人たちを虐殺したりと酷いことをしたかもしれないけど、実は「良いこともしたんじゃないか」と主張をする人たちがいます。その「良いこと」というのが本当に良いことだったのか。それを政策ごとに検証しようというものです。

表面的なところだけで判断してはいけない

僕がこの本を読んで学んだのは「表面的なところで判断してはいけないな」というものです。学んだというか改めてそれを再認識したという感じかな。

 

ナチスは権力を手に入れた後、失業者対策、労働者支援、家族支援、健康支援など様々な政策を行いました。失業者対策とか家族支援とか良さげに見えますよね。でも、それは表面的な部分でしかありません。「ナチスは良いこともした!」という主張は、その良さげに見える部分を都合よく切り取ったにすぎないわけです。

 

では一体、どのように政策の良し悪しを判断すればいいのでしょうか。著者は次のような視点でナチスの政策を検証しています。

 

①その政策がナチスのオリジナルな政策だったのか(歴史的経緯)、②その政策がナチ大切においてどのような目的をもっていたのか(歴史的文脈)、③その政策が「肯定的」な結果を生んだのか(歴史的結果)という三つの視点から、それぞれの政策について検討していく。

『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット)著者、小野寺拓也、田野大輔、

 

まず、①のオリジナルかどうか。「オリジナルであることが良いこと」という風潮が世間にはあると著者は考えます。実際のところ、オリジナルなことと良いことは、イコールではないわけですが、オリジナルであるというだけで肯定されてしまうことがあるわけです。

 

なので、そもそもナチスが行った政策が、「オリジナルであるかどうか」という視点から検証しています。

 

次に②の目的です。僕はこれが特に大事かなと。先述した失業者対策だとか家族支援というのは、字面だけ見ると「良いことをしている」風に見えてしまいます。じゃあ、その目的は何だったのか。本書では、各政策ごとに行われた目的が説明されてますが、それ見るととても手放しに「良いことしたよね」とは言えなくなります。

 

最後に③の結果です。「良いこと」というのは政策を行った上で、何かポジティブなものをもたらしていなければなりません。良さげな政策を行っても、その結果が国民生活を窮地に追い込みましたじゃ、とても良いとは言えませんよね。なので、ナチスの行った政策について結果面から見ていくことも重要だというわけです。

 

本書では、これらの視点からナチスの政策を丁寧に検証しています。詳細については、ぜひ本書を読んで確認してみてください。僕自身は、ナチスの政策についてかなりざっくりとしか知らなかったので、本書を読んで細かな政策が確認できたことと、その目的や実際の結果についてしっかりと知ることができたので、読んで良かったなぁと思いました.

 

この本の筆者たちこそ「良いこと」をしてますね。

 

過去の政策を見る視点を養えた

本書はナチスの政策についての検証ですが、本書を読むことで、「過去の政策を見る視点を養う」ことができます。これって色々なところに応用できると思うんですよね。例えば過去の日本の政策についてとか。

 

戦前の日本つまり「大日本帝国」の政策を評価する声、つまり「良いこと」もしたのではという主張がなされています。例えば「教育勅語」について。教育勅語は明治天皇によって示された教育や、国民の道徳の基本的な方針みたいなものです。

 

内容は兄弟仲良くとか夫婦で助け合おうみたいなもので、一見すると「良いこと」のように見えます。そりゃ、兄弟仲いい方がいいでしょうし、夫婦も助け合ってやっていけるに越したことはないです。だから、そうした「良いこと」に見える部分だけを切り取って、「教育勅語を復活させよう!」とかそういう主張をしたりするわけです。どこかの幼稚園では教育勅語を暗唱させたりもしていましたね。

 

でも、当時の政府が出す政策なり、方針には当然それが作られる目的があります。それを国民に広める理由があるわけです。それらをちゃんと知った上で、評価しなくてはなりません。

 

教育勅語は一見よく見えますよね。でも、それが出されたのはどんな時代だったのか?その時の主権者は誰だったのか?その辺りを分かった上で評価すると、もしかしたら評価もまた変わってくるかもしれませんね。

 

まとめ

今回は『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』という本を読んだ感想を書きました。120ページ足らずなので、あっという間に読めますが、歴史を振り返る上でとても大切な視点を得ることができる素晴らしい本だと思います。

 

また、ナチスの政策について知る上でも、とても簡潔にまとまっていて、入門書として良書だと思います!興味がある方はぜひ一度読んでみてください!