オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

髙坂勝さんの『次の時代を、先に生きる。』読了。人生の選択肢は一つじゃない!!

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先日、こんな本を読みました。

 

知らない人のために簡単に髙坂さんのプロフィールを。

 

1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなOrganic barを開店。現在は週休3日で、東京と千葉県匝瑳市の2拠点生活。NPO法人SOSA PROJECTを創設し、「自給/自立/自信」をテーマに、米と大豆の自給や、移住者の支援活動を行っている。脱成長ミーティング発起人、緑の党 グリーンズジャパン初代共同代表。執筆や講演多数。著書に『減速して自由に生きる ダウンシフターズ』がある。

引用元:『次の時代を、先に生きる。』(ワニブックス)

 

成長だけが全てじゃないと気付かせてくれる一冊

ここでの成長っていうのは「経済成長」に限定しています。ただ経済成長を否定しているわけじゃなありません。経済成長を目指すっていうのは悪くはないし、それに向かって突っ走れる人は突っ走っていくのもいい。でも一方で「いつまで経済って成長させなきゃいけないの?」っていう疑問もある。

 

経済成長するためには競争が欠かせない。競争することも悪くはない。ガンガンやれる人はやればいい。でも一方でその競争に疲れてしまう人がいる、その競争自体が向いていない人がいるかもしれない。そういう人はどうすればいい?ただ競争に敗れてそれでおしまい?

 

そうじゃないでしょ?そもそも自分の成長=経済を成長させるってことに結び付ける必要はないはず。そもそも「人の成長」を「経済成長」のためだけに活かす必要はないでしょ?違う成長のしかたもあるんじゃないの?経済成長だけが全てじゃないでしょ?色々な選択肢があっていいんじゃないの?

 

そんなことをずーっと本書の中では語りかけられている感じです。

 

個人的にはふむふむ、そうだよなーと思うし、人によってはガンガン稼ぐとかガンガン経済成長に突っ走る以外の道があってもいいと思います。いやっ、貧乏がいいって言ってわけじゃないんですよ。ただみんながみんなオラオラと競争しまくるのが得意じゃないんだぜっていうのはその通りだと思います。

 

資本主義だと「お金稼げてなきゃ駄目だよね。」みたいなどうしてもそこだけに価値が置かれがちだし自分の成長っていうのはお金を稼ぐための成長に結び付けられがち。でも実際は人の価値ってそれだけじゃないとも思います。金稼いでなくてもすげぇ人や魅力的な人なんて沢山いるしね。(僕のことではない)一個の価値観だけで人なんてくくれるもんじゃない気もしますね。

 

こんだけ経済成長だけが全てじゃない、筆者の髙坂さんも別に競争を否定してるわけじゃありません。

 

今までは選択肢がなかった。山頂を目指さなければならない、を常とされてきたから。

大切なことは選ぶこと。比べることではない。速さや高さや多さを比べていたら、勝てるのは1人だけ。選べばいいんだ。違う道がある。降りる道がある。

 

山頂を目指すっていうのはまさに経済成長、お金をガンガン稼ぐ道。それが全てでそこに向かってみんなで競争していくっていうのがこれまでの考えだった。勝つのは1人だけではないかもしれないけど、山頂にいられるのはほんのわずかな人たちだけでしょう。1%の金持ちと99%の庶民。

 

それでも諦めずに何度も山頂を目指して生きるのだって素晴らしいし、僕は尊敬できる。その人生は肯定したい。でもじゃあそれができない人はどうすればいいのか?希望はないのかっていうとそうじゃない。違う道を選べばいい、山を降りて別の道をいけばいい。それが髙坂さんの考え方。

 

じゃあ、別の道って何なの?どうやって生きればいいの?っていう考えも本書の中には沢山ちりばめられています。

 

半農半X

一つの道として半農半Xっていう生き方があります。

 

半農っていうのは文字通り「半分農業をする」っていうこと。でもこの農業は別にものを誰かに売るための農業というわけではないです。

 

自分や家族の食べ物をちょっとでも自給して食べ物に困らないようにするための手段。お金をあまり稼げないとしても食べるものを自分たちで作っていればとりあえず死ぬことはないし、自分で食料を得られるならその分稼ぎは少なくても済みます。そのための半農。

 

誰かに売るってなると色々品質とか色々な管理が大変みたいだけど、自分とその家族が食べるだけならそんなに大規模にやらなくていいし、多少見た目が悪かろうが問題ありませんからね。

 

一方半XのXの部分は本書の中では「天職たる仕事をする」と書かれています。理想は天職をやることなんだろうけど僕は天職じゃなくて自分が得意なことや好きなこと、自分が苦痛じゃないことでも何でもいいと思うんですよ。

 

だからXの部分は経済活動って考えるといいんじゃないかな。天職じゃなくてもいい。人によってはあんまり稼げないかもしれないけど多少のお金は入ってくる仕事。でも稼ぎは少なくても「半農」で食べるものはある程度確保できているから生きていくうえであまり不安にはならない。なるほど、「半農半X」という生き方は面白い。

 

ちなみに髙坂さんは都内で週4日OrganicBarを営みつつ、休みの日には千葉県の匝瑳市でお米と豆を育てて自給をしている、まさに「半農半X」を実践している方です。サラリーマン時代から収入は半分程度になったけど当時よりも不安がないともおっしゃってますね。やっぱり自給できているっていうのは強いんだなーと思いますね。

 

ナリワイを見つけて稼ぐ

ナリワイについては説明が必要だろう。『ナリワイをつくる』著者の伊藤洋志さんの説明をお借りすると、「ナリワイとは、個人で元手が少なく多少の訓練で始められて、やればやるほど頭と体が鍛えられて技が身につき、ついでに仲間が増える仕事のこと。」

 

 まぁ、平たく言うとナリワイって自営業みたいなものなんだけど、髙坂さんはこのナリワイに自給を組み合わせるとベターとおっしゃってます。

 

ナリワイだけではお金への依存度が100%でサラリーマンと変わらず、安心や将来のために「もっと稼げ、もっと稼げ」というストレスが増してしまうこともある。自給だけだと食べ物には困らないが、現代社会ではキャッシュレスでは、閉じこもって暮らすことになりかねない。だから両方の方法をとれば、ちょうど良くなる。ほどほどお金を稼ぐが、食べ物を自分である程度は確保できるので、命を脅かされることがなく、将来への不安も和らぎ、カネや「もっともっと」に翻弄されない。

 

ナリワイのみじゃ雇われて働くのと変わらない。でも自給だけじゃ家から出ることができない。お金も必要だよね。じゃあ、どっちもやっちゃえと。それなら仮にナリワイでうまくいかなくてもとりあえず食うものには困らないし、逆に完全自給とまではいかなくても、ナリワイで多少のお金が入ってくれば食料を買うこともできる。

 

リスクを避けるということで考えればどっちもやっておくのがいいというわけですね。

 

ちなみに本書の中にはナリワイの見つけ方みたいな章もあるので、その辺も読んでみるとすごく参考になります。「ナリワイってどーやって見つけるのよ?」って思う方はそこ見るだけでもヒント見つかるんじゃないかな?

 

まとめ

本書を田舎暮らしとか、移住とかとかナリワイとかそういう単語がたくさん出てきます。どの単語も結局は「今の生きかただけじゃなくて違う道もあるよ」っていうところに繋がるんですね。色々な生き方を提案してくれてるわけです。

 

選択肢がたくさんある世の中こそ、自由であり、豊かであり、個性が認めあえる世の中だと思う。

 

僕も選択肢が多い世の中は大賛成。一個の価値観で生きて、一個の生き方で成功するのが幸せだというのは違うと思うし、その生き方でうまくいかない人だって絶対にいると思うから。そこに乗っかれなかったら別の生き方を選んでいい。

 

個人的には本書に書かれていることを全てできるかと言われると難しいかもしれない。まぁ、筆者の髙坂さんも完璧には出来ていないみたいだし、無理して完璧に実行する必要もないと思う。それこそ自由に選択していいとこどりして自分の人生を創り上げる、そんな感覚でいればいいのだと思います。

 

個人的には自分でコメ作るとか楽しそう。売るんじゃなくて自分が食べる分だけって考える時が楽だしね。あとは雇われるんじゃなくてナリワイで稼ぐとかもいいなぁ。今の自分に何ができることがあるのかと言われたらビミョーだけね。ただナリワイで人の役に立てたらきっと楽しいし、雇われてないぶん自分で人生をコントロールできてる感じがしていいなぁなんて思いますね。

 

ただ合間合間に政治経済の話とか雇用関係の話とか、原発のこととかもかかれていて、読む人によっては「うーん。」となるかもしれない。その辺は髙坂さんのいいたいところなんだろうけど、そこまで政治とかの話に興味がない人にとっては読むの大変かも。髙坂さんの思いに熱量がある分、「うぉっ。」ってなってしまいそう。

 

まぁその辺はフムフムと読み進めるなり最初は多少スルーしてもいいのかもしれませんね。

 

とりあえず最初は「経済成長だけじゃなくて別の道もあるよ」っていう本書の本題の部分を読み進めるといいと思います。そこを読んでそういう生き方があってそのための方法もあるんだよって知るだけでもこの本を読む価値あるんじゃないかなー。

 

ぜひ本書を読んで多くの方に

 

「今の人生以外の選択肢もある」

 

ってことを知ってもらえればなーなんて思います。非常に読み応えのある一冊なので興味がある方はぜひ読んでみてくださいね♪

 

それでは今回はこの辺で。

最後までご覧いただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。