オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

2023年末から2024年の始めに読んだ本

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相変わらず年末年始も本を読む日々でした。おかげさまでほどよい現実逃避と、知的好奇心や想像力を刺激する時間を設ける事ができました。10代、20代の頃は自分がこれほどまでに読書をするなんて思っていなかったので、人生何があるかわからんなぁなんてしみじみ思う日々です。

 

さて、今回の内容ですが、今年は積極的にアウトプットの機会を増やすぞーという目標を密かに立てておりましたので、この年末年始に読んだ本の内容を、ざっくり振り返りつつ紹介してみようかなぁと思います。

歌舞伎町案内人

 

内容はタイトル通り。歌舞伎町で14年間「案内人」として街に立ち続けた著者が語る、歌舞伎町のアンダーグラウンドな世界です。

 

この本は確か『ルポ歌舞伎町』って本の中で、ちょろっとタイトルが出てたのかな。それで気になって読んでみたんですよね。僕はビビリなんだけど、こういうアングラな世界が好きなんですよね。まぁ、なんといっても、「90年代から2000年代初頭の危ない歌舞伎町の空気を味わえる」っていうのがポイント。ケツモチのヤ◯ザとのやりとり、街に立つ者同士の縄張り争い、刑事との関係、すぐ近くで起こる中国マフィア同士の抗争など、ヒリヒリした当時の歌舞伎町の様子を追体験することができます。

 

令和に入った現在でも歌舞伎町は、カオスで危ない雰囲気を醸し出す街ではあります。でも、暴対法でヤ◯ザ的な人たちが大手振って歩くこともなくなり、海外からの観光客も増えて、その危なさっていうのもだいぶ薄まりつつあると思うんですよ。それは、いいことなんだけど、一方でそういう危なさだったり、怖いものみたさを満たしてくれる場所でもあったわけです。そういう怖いものを見たい、知りたいっていう人にはオススメの一冊だと思います。

 

新宿歌舞伎町新・マフィアの棲む街

 

こっちも歌舞伎町関連だけど、先述した『歌舞伎町案内人』が著者の実体験ベースだとしたら、こっちは歌舞伎町周辺で起こった事件の背景に、どんな組織が関わっててどのような背景があるのかを、様々な関係者に取材してまとめた一冊です。

 

特にアンダーグラウンドの組織の関連性とか、どういう人たちが関わっているのかを知りたいっていう人にはオススメですね。あの当時の話だけど、同じ中国マフィアでも地域が違うとバチバチなんだなぁとか、暴力への躊躇のなさとか、命の扱い方の軽さとか、アンダーグラウンドの住人たちの恐ろしさを学習できます。こういうの読んどくと「あっ、この人達とはお近づきになっちゃいかんな」っていうのがわかりますね。

 

東京のヤミ市

 

こちらはまさにタイトル通りで、終戦後の東京にあった「ヤミ市」の成立過程や、そこにどんな人たちがいてどんな商売が行われていたのかを学べる本です。僕は上野とか新宿とか好きで、そういうところってヤミ市が元になっていたりするんですよね。で、街歩きしているうちに、街の歴史が気になって本書を読んでみたというわけです。

 

太平洋戦争時の空襲によって、東京の都市部は焼け野原になり、インフラも破壊されてしまいました。政府は食料品や衣類などの販売を禁止したので、戦後はとんでもない物資不足となってしまい、多くの人が困窮することとなりました。需要はものすごくあるけど、供給がほとんどない。それが終戦直後の日本だったわけです。

 

そうした中で、人々はヤミ市を形成し、禁止されているものも販売していったというわけです。いくら政府が禁止しようが、人々の欲求を完全に抑え込むのは不可能ってことですね。欲しいもんは欲しい!

 

この辺は、かつて「酒を飲ませるな!」と制定された禁酒法時代のアメリカを想起します。禁酒法は1920年から1933年まで施行されました。この時代のアメリカは表向きはお酒禁止だけど、裏でマフィアなんかが酒を作って儲けてました。

 

日本のヤミ市を仕切ったのも「組」組織でした。ただ、組というとヤ◯ザを思い浮かべる方も多いと思うんですが、この時は必ずしもそうではなかったんですね。本書によるとヤミ市を仕切っていたのはいわゆる「テキ屋」の組織でした。(ヤクザとテキ屋の関係は本書を参考にしてみて)

 

このヤミ市の知識がなんの役に立つのかと言われると、答えに窮してしまいますが、まぁ僕の場合はシンプルに知りたかったんですよね。知的好奇心を満たしたかった。自分の好きな場所の歴史を知るのが楽しいっていうそれだけのことです。まぁ、無理やり役にたつ理由を述べると、あの時代は現在と比べてとてもつもなく混沌としていたわけで、そんな中でも、人々が時にしぶとく強かに生きようとしていたエネルギーみたいなものを感じられるんじゃないかな。人間、焼け野原からでもやり直せるんだなってね。

 

ただ、ヤミ市を作らざるを得なかったのは、戦争のせいなので、「戦争は社会システムを根底からぶっ壊す回避すべきもの」っていうのも教訓として覚えておきたいところです。

 

日本が戦争に負けたことで得られたメリットとは別にね。

 

自分以外全員他人

 

 

こちらは持たざる中年男性が主人公の物語。この主人公はいわゆる「無敵の人」になることを恐れているんですね。そんで、自分が暴発して事件を起こしてしまうんじゃないかと思っている。だから、そうなる前に死ぬつもりなんです。

 

まぁ、ハッキリいって読んでると辛いですよね。まず僕も持たざる中年側だっていうのもあるので共感してしまう。おっさんも辛いよ。そんで何より、文章の端々に主人公の理解されないことへの憤りとか、諦めとか、悲しみとかそういうもんがずっしり乗っかってるんですよね。これは著者自身の体験とか考えも反映されてるんじゃないかな。なんつーか、客観的に書いた文章ではないように思えるんですよね。言葉の鋭さとかリアルさが。

 

この物語がどんな終わりを迎えるのかはぜひ読んで欲しいところですが、まぁホントに‥という感じです。ただ、絶望だけではなく、希望とか人の善意みたいなのもちゃんと示されてるので、そこが救いかなぁと。

 

読んでるととても苦しいんだけど、でも、誰かのそうした苦しみとか辛さが直ぐ身近にあるかもしれないっていう考えを改めて持てたし、何より人に優しくしなきゃなぁと思いましたね。人も社会もね。そういう点で、読んで良かったなと思う一冊でした。

 

まとめ

そんなわけで、2023年の年末から2024年の年始にかけて読んだ本をざっくりと紹介してみました。今年も本は色々と読む予定です。また、面白い本や役に立ちそうな本、何か気づきが得られるのではという本があれば紹介していきたいと思います。