オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

新興宗教を知るために役に立った本、漫画、映画を紹介してみる

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2022年の夏は元総理の襲撃という衝撃的な事件から始まり、新興宗教やカルト問題の根深さが改めて浮き彫りになったと思います。とはいえ、多くの人はそこまで実態について詳しくないのかなとも思います。それは、僕も含めて。そこで、今回は僕なりに色々調べた末に新興宗教やカルトについて知る上で参考になるんじゃないかという作品を、本や漫画、映画など様々なジャンルから紹介してみようと思います。

新興宗教、カルトについて書かれた本

「カルト」はすぐ隣に

 

フリージャーナリスト江川紹子さんがオウム真理教について書いた一冊。江川さんは教団から命を狙われるぐらい敵対視されていた人であり、かなり踏み込んで取材をしていました。

 

本書はそんな江川さんの取材をもとに、「なぜ人はカルトに引き寄せられてしまうのか?」という疑問に対して、オウムの幹部をはじめとする元信者たちの生い立ちや時代背景とともに説明しています。

 

本書は岩波ジュニアということもあり、若い人や一連の事件を知らない人に向けた入門書的な一冊ですが読み応えは十分。これだけでもカルトの危険性や、どういう人がカルトに引き寄せられてしまうのかなどその概略を掴むことができるでしょう。

 

信仰が人を殺すとき

 

 

アメリカで若い女性と幼い娘が殺害された。その犯人はモルモン原理主義を信じる女性の義兄たちだった。本書は彼らの信仰や、モルモン教の歴史を辿りながらなぜ事件が起きてしまったのかを解き明かす。

 

モルモン原理主義はモルモン教とは違うと考えられていて、わかりやすい違いは「一夫多妻制」が神の教えだと信じていることです。(創設者のジョセフ・スミスは一夫多妻制を提唱していましたが、現在のモルモン教の人たちはその考えを放棄しています。)

 

タイトルにもあるように「信仰は人を殺す」ことがあるんですよね。オウム真理教の事件もそうでしたが、絶対的な神や教祖が許可したと信じるのならば、殺人という重い罪に値するものすら正しいと思い込んでしまう。法律よりも神の教えが優先するという論理。

 

もちろん、これは一例でしかありませんが、本書を読みながら信仰というもののエネルギーの凄まじさ、そして何よりも信じることの盲目性や恐ろしさを突きつけられました。犯人の思考の飛躍の仕方なんかを見ると「話通じないんじゃ‥」と思ってしまうんですよね。

 

また、モルモン教の歴史についても書かれているので、新興宗教がいかに拡大し定着していくのかを知る上でも参考になる一冊だと思います。

 

マインド・コントロール

 

 

タイトル通り「マインド・コントロール」について、その手法やどういう人がマインド・コントロールを行い、どんな人がマインド・コントロールにかかりやすいのかを解説。

 

この本には、どのようにマインド・コントロールを解くのかも紹介されていますが、まぁ正直、いったんマインド・コントロールによって操られてしまえば、素人がどうこうできるものではないと思います。ただ、こういう本から知識を得ておくことで「あれ?この組織ちょっとヤバいかも」ということに気付きやすくなるはずです。

 

そうした危ない組織や人から距離を置くために、本書のような本を読んで学んでおくといいのではないかと思います。

 

漫画

『カルト村で生まれました』

 

 

著者の高田さんが実際にカルト村で過ごした日々を綴ったエッセイ漫画です。絵のほのぼのした感じからは想像もつかないほど理不尽で、思わず「えっ?これホントなの!?」と言いたくなってしまう村での生活が描かれています。

 

漫画なのでこうした集団で暮らす人たちが、どういう生活をしているのかとてもイメージしやすいと思います。

 

『カルト宗教信じてました』

 

 

こちらはお母さんがエホバの証人の信者で、幼い頃から自分もその教えに触れてきた著者が描いた漫画です。

 

カルト宗教の信者が家族にいること、そして自身がどうしてその教えにのめり込んでいったのかがかなり克明に描かれています。

 

宗教にハマる人は不安や悩みを抱えていたり、孤独であるなんてよく聞きますが、本作を読んでいるとまさにその通りだなぁと再確認できます。また、すでに紹介した『「カルト」はすぐ隣に』という本に載っている弁護士の紀藤先生の「カルトに入ってしまうのは「タイミングと運」が大きい」という言葉も本書を読むとより実感が湧いてきます。

 

また、著者はこの本の後に、『カルト宗教やめました。』という本も出しています。タイトル通り、宗教をやめた後の生活を描いているので、そうした人たちがやめた後にどういう葛藤を持つのか、家族との関係はどうなのかなどを知りたい人は、こちらも読んでみるといいかもしれません。

 

 

 

映画

『星の子』

 

こちらも宗教2世の子供が直面する現実や葛藤を描いています。芦田愛菜さんが演じる主人公は幼い頃病弱だったのですが、それを治してくれたのがある宗教の提唱する水でした。それ以来、両親はその宗教を信じています。

 

カルト的な宗教や団体の場合、しばしばその教えが優先されて家族の生活が蔑ろにされがちです。最近でも、安倍元総理を襲撃した容疑者の家庭が宗教によってボロボロにされたなんて話がありましたよね。ところが、本作の宗教はそうではありません。むしろ、主人公はちょっと怪しい宗教を信じているのも込みで両親のことがとても好きだったりします。だから、両親が信じる宗教に対しても、嫌悪感みたいなものはなく自然と受け入れているんです。

 

でも、はたから見える景色はまた違います。両親が真面目に行う宗教の儀式も、彼らが「これを飲むと風邪ひかないんだよ」とありがたく飲んでいる水もおかしいと思う人たちが確実にいます。それを彼女はこの物語の中で突きつけられるんです。他者からの「おかしい」「なんか怪しい」という違和感が自分の中に入り込んでくる。そうして生まれる葛藤。きっと多くの宗教2世の人が持つであろうその葛藤を、よく描けている作品だなぁと思いました。

 

後は、本作が非常に現実味のあるおわり方をしているとも思います。主人公が宗教の怪しさやおかしい部分に気づいてその宗教や両親から距離を取るのが、わかりやすくスッキリする終わりなのでしょうが、はたして本作はどう終わるのか?その辺りもぜひ実際に見て確認してみてほしいところです。

 

まとめ

そんなわけで今回はカルトや新興宗教について学ぶ上で参考になる作品を挙げてみました。おそらく、まだまだ増えると思うので、随時追加していくつもりです。興味のある作品がありましたら、ぜひチェックしてみてください。

 

 

参考サイト

日本に存在する「カルト村」の実態とは? 食事抜き、体罰、手紙の検閲…まるで軍事国家のような支配 | ダ・ヴィンチWeb

カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由 | ダ・ヴィンチWeb