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『THE FIRST SLAMDUNK』原作ファンも初見の人も楽しめるでした!

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先日、映画『THE FIRST SLAM DUNK 』を観てきました。ご存知の方も多いとは思いますが、この作品は90年代の少年ジャンプ黄金期を彩ったバスケット漫画の金字塔である『SLAM DUNK』(以下スラダンと略します)を映画化したものです。今回は初の3DCGアニメであるとともに、何と言っても原作者である井上雄彦先生が脚本と監督も務めたことでも話題になっています。

 

原作の連載が終了したのは1996年ですが、僕は当時小学生でまさにジャンプにどハマりしていました。ですからスラダンがいかに人気があったのかを当時肌で感じていました。スラダンの影響でバスケを始めたという人は僕の周りにもいましたし、バスケットという競技をより身近なものにしてくれたという点で、その影響力は絶大だったと言えるでしょう。

 

ただ、連載が終了して既に25年以上が経ち、僕の少年時代はとっくに過ぎ去り、スラダンの話題をすることも耳にすることもほとんどなくなって久しいです。そんな中、新作映画が公開されるという情報を聞いた時は「なぜ今スラダンなんだ?」と思ったのが正直なところです。

 

とはいえ、やはりかつては僕らを熱狂させたスラダンですし、井上先生が脚本・監督をしているわけです。すごい気合いの入りようじゃないですか。普通原作者が自分の原作を映画化する際に、脚本と監督をやるなんてほとんどないですよね。これはきっと何かすごいものが見られるのではないか。そんな期待を胸に映画を観に行ったわけです。

 

※ここからはネタバレありなのでお気をつけください

原作を活かしつつ新エピソードを追加

結論から言えば本作は超感動とまでは言わずとも、とても楽しめる作品に仕上がっていたと思います。物語は原作のクライマックスでありこれまでアニメにはされてこなかった山王工業戦をベースに、登場人物の1人である湘北高校のポイントガード宮城リョータの過去を掘り下げる形となっています。この形が個人的には良かったなと。

 

というのも、宮城に関しては湘北に入る前の過去って語られてこなかったんですよね。湘北の他のスタメンの選手たちの過去は原作である程度描かれていました。(流川はちょっと少なめだけど)で、今回の作品はその宮城の過去を小学校時代からガッツリ入れることで、唯一語られてこなかった宮城の過去を明らかにし原作を補完する形になっています。

 

もし宮城のエピソードを入れず、山王工業との試合を原作そのままで映像化していたら果たしてどうだっただろうかと。確かに原作読むとメチャメチャ感動する話ではあるけど、原作を読んだ人はラストまでわかっちゃってるわけですから、想像を超えてはこないんじゃないかなと思ったわけです。だから、この試みは良かったなぁと思います。原作知ってる僕でも新鮮な気持ちで観られましたからね。

 

原作から大幅に削られたもの

ただ、本作が山王戦と宮城の過去に絞られたためか、原作からかなり色々なものが削られていました。代表的なものは宮城以外の選手たち(湘北、山王どちらとも)の過去の部分や、試合を観戦していた他の高校の選手たちや関係者たちの存在です。

 

宮城以外のキャラクラーたちのエピソードが削られることで、どうしても他の選手たちの魅力だったり彼らに対する思い入れが薄くなってしまう気がしました。特にスラダン自体が初見の方の場合だとそれは顕著だったのではないでしょうか。

 

また、湘北が一回戦で勝利した豊玉戦から山王戦に至るまでのエピソードも物語を盛り上げる上で重要です。たとえば原作では湘北vs山王の前に、山王の選手たちがOBと練習試合をする場面が描かれます。OBといってもただのOBではなく、大学オールスターと言っていいほど能力が高い選手たちです。ところが、練習試合とはいえ山王の選手たちは彼らを一蹴してしまいます。つまり、この時点で山王は大学選抜よりも強いという、とんでもないレベルにあるチームであることがわかるわけです。

 

こうした前日譚は否が応でも「こんなチームにどうやって勝つのか?」と読者に思わせますし、また湘北の選手たちがこの怪物たちとどれだけ渡り合えるのかというワクワク感にも繋がりますが、この辺りは結構バッサリ削られていたなと思います。

 

もちろん、それはしょうがなくもあります。宮城のエピソードも入れて他の人物の過去や登場キャラを出していたら、それこそどのぐらいの長さになるかわかりませんし、宮城のエピソード自体がぼんやりしたものになるでしょう。あくまで、今回のメインは宮城とし他のキャラたちのエピソードなどは最小限に抑えることにしたんだと思います。

 

原作ファンからすれば「あのエピソードはどこいったんだ!」と疑問に思うこともあるでしょうし、僕もそう思うこともありましたが、新しいスラダンを作ろうという試みにおいて、この選択は理解できるものでした。

 

ですから、『SLAM DUNK』という作品自体、この映画で初めてという人はぜひ原作の方も見てほしい。他のキャラクターたちのエピソードや前日譚なんかを知ると、たぶんもっとこの『THE FIRST SLAM DUNK』が楽しめるのではないでしょうか。

 

まとめ

というわけで今回は『THE FIRST SLAMDUNK』の感想を書いてみました。3DCGでスラダンのキャラクターたちの躍動感ある動きを見られるのは個人的にとても楽しかったです。(動きに違和感を覚えるところもありましたが)

 

また、既に述べたように原作にはない新エピソードが追加されることで、原作ファンにとっても新鮮な気持ちで観られる作品ですし、逆に初見の人はこの映画を観ることで、一緒に原作も読んで『SLAM DUNK』の世界をより楽しんでもらえればなと思います。原作のどこが削られ、どこのエピソードが改変されてるのかを比べるといった楽しみ方もあるでしょう。

 

それにしても、まさか2023年にスラダンのことでブログ書くとは思わなかったです。いい機会を与えてくれた井上先生や映画製作に携わった人たちに感謝しつつ、筆を置きたいと思います。

 

 

 

参考サイト

映画『THE FIRST SLAM DUNK』