「親が亡くなった後、ひきこもりの人はどうするのか?」
ひきこもりについて考える時に、上記のような疑問が出てくることもあるかと思います。僕自身も、かつてあんまり家から出れなかったときは、こんな風に思ってました。
「このままだったら、自分は将来どうなるのだろうか?」
まぁ、僕の場合親が死んだらとまでは考えなかったけど、少なからず自分がこれからどうなっていくのかってことは不安に思ってました。家にいたままではジリ貧になるのもなんとなくはわかる。おそらく長年引きこもっている方の中には、もっと将来に不安を持ってる方もいるんじゃないかな?
では、いったいどうすればいいのでしょうか?僕は実際にその立場になったことがないので「こうすればいいよ」とお伝えすることはできません。ただ、ありがたいことに世の中には、そういう人に向けた本なんかも出ています。例えばこちら。
この本は、お医者さんでひきこもりについていくつも著書を出されている齋藤環さんと、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが書かれた一冊です。
前半部分では、斎藤さんがひきこもりになる原因やメカニズム、支援についてを書いていて、後半部分では畠中さんが、ひきこもりの人がこのまま働けない状況であった場合、どのようにしてライフプランを立てていけばいいのかを、ものすごく具体的に教えてくれています。
今回はこの『ひきこもりのライフプラン』を読んで、僕が大事だなと思ったことや共有しておきたい情報などを中心に書いていきたいと思います。
将来に備えてひきこもり、もしくはその家族が読んでおきたい一冊
世の中にはひきこもりの人に対してやたらと厳しい言葉を投げつけたり、不安を煽り立てるような人がいたりします。個人的にそういう他人の事情も知らないで、ズカズカと他人の人生に土足で足を踏み入れてくるような人には腹が立つし、そういう人の言葉を真に受けて傷ついてほしくないなぁと思っています。
ただ、一方で現実として「これからどう生きていくのか?」を考えておくことも必要です。というのも多くのひきこもりの方は親御さんの金銭的な援助を受けながら生活しているはずなので、その親御さんが亡くなった後というのは、これまでと同じような生活を送るというわけにはいかなくなるからですね。
ただ、これは不安をあおっているわけではありません。むしろ「将来はこういう風にすればとりあえず生きていけるんだな」ということを知っておけば、ひきこもりの方やその家族の不安な気持ちを和らげることができるのではないかと思うわけです。
その役に立つのがこの『ひきこもりのライフプラン』という本なんじゃないかな?
特にファイナンシャルプランナーの畠中さんが書いている後半部分は、親の資産について、収入や支出について、住居について、財産の相続や使える制度など、ひきこもりの方が親御さんを亡くした後を考える時に役立つ知識がかなり具体的に書かれています。
こういうのってなかなか周りに聞いても分からないことだと思うんですよね。僕も結構知らないことが多くて、とても参考になりましたからね。実際にこの本を読んでみてたら「ああ、これなら仮に親が亡くなったとしても、ひきこもりの人は慌てなくて済むなぁ」って感想を持津人は多いんじゃないかな?それぐらい非常に実用的で具体的な内容が書かれているので、ぜひこの本を読んで知識を得てほしいところです。
ひきこもりについて理解しやすい一冊
この本は、ひきこもりの人が親御さんが亡くなった後のライフプランについて考える時に、メチャメチャ参考になる一冊っていうのは、先ほど説明した通りです。
そんで、もう一個この本をおすすめしたいなと思った理由は、
「ひきこもりについて理解したい時に、とても参考になるから」
なんですね。というのも、冒頭でも述べたように著者の一人である斎藤さんは、医師であり長年引きこもりの問題について関わってきた、いわばひきこもりのエキスパートのような方です。
お医者さんのような専門家の方の場合、時に専門的な用語を使いすぎて理解しにくいなんてことがあるわけですが、この本ではひきこもりになる原因や、支援の方法などかなりわかりやすくまとめてくれています。
そうそう、この本の冒頭でいきなり「ここすんごい大事!!」って内容が出てくるので引用させてもらいました。
私はこれまで、ひきこもり状態から社会参加を果たしたケースの話を直接聞いたり、体験談を読んだりする機会がしばしばありました。そして、ほぼ全例に共通する特徴が一つあることに気がつきました。社会参加への導き手として、家族以外の「理解ある第三者」の介入がなされていることです。
「第三者」とは、もちろん医療関係者に限りません。様々な支援団体のスタッフや、時には友人、恩師といった人たちからの援助や協力が、ひきこもりからの回復において、きわめて大きな意味を持つのです。
引用元:『ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか』p4 著者 斎藤環 畠中雅子 岩波書店
↑の話ってほんっとに大事なことなんですよね。本人だけ、家族だけで解決しようって思ってもなかなかひきこもり状態から脱出することは難しい。ただ、現実は親御さんとか本人が世間の目を気にしちゃって、つい家族内で解決しようと考えてしまったりするわけです。あるいは、完全に放置しちゃったりとかね。
でも、こういう知識を得ておけば「ああ、そうか。本人だけでも家族の力だけでもひきこもりから抜け出すのって難しいんだ。じゃあ、ひきこもりのサポートをしてくれる第三者に相談してみようか」って考えられるじゃないですか?隠さなくていい、むしろ公にして相談した方が解決に向かう可能性が高まる。これはメチャメチャ大事な気付きだと思うわけです。
ですから、僕はこの本をひきこもっている本人はもちろんのこと、その家族にも見てほしいなと思います。なんとなく「うちの子は大丈夫だろう」とか「信じていればきっといつか動き出す」っていう考えはうまくいかないかもしれません。むしろ積極的に外と繋がって解決に向けて動いてた方がいいかもしれない。この本を読めば、おそらくそんな気付きをたくさん得られるはずです。
まとめ
そんなわけで、今回は『ひきこもりのライフプラン』という本を読んだ感想や、大事だなと思った部分について共有してみました。
先述したようにこの本は、ひきこもり本人だけでなくその親御さんやサポートをする人にはとても参考になる一冊です。
地域によっては図書館などでも借りれると思うので、まずは一度読んでみてもらえればななんて思ってます。
ちなみに、↓の本も畠中さんが『息子・娘のために親が「準備しておくべき」こと』という内容で、親御さんが亡くなった後のために「こういうことをしておきましょうね」ということが書かれています。
書かれているのは『ひきこもりのライフプラン』の内容をもう少し優しく説明している感じです。やや被ってる部分もありますが、こちらも参考になる一冊なので、ぜひ一度読んでみてください。
それでは今回はこの辺で。