オバログ

日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

ハートネットTVのひきこもりについて取り上げた回を観た感想を書いてみました!! 

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僕が時々観るハートネットTVという番組があります。先日この番組でひきこもりの当事者や関係者を取り扱った内容が放送されていました。

 

ひきこもり当事者や、その家族、専門家の意見を紹介しながら「なぜひきこもりは長期化するのか?」「ひきこもりから抜け出すためのヒントはどこにあるのか?」など個人的には非常によくまとまった番組だなーと思いました。

 

端的に言えば「ひきこもりで悩んでいる人は観ておいて損はない」番組だと思ったんですね。

 

そこで、今回はこの番組内で紹介されていた、ひきこもりに関してヒントになりそうな情報を紹介しつつ、僕が個人的に感じたことなんかも書いていきたいなと思います。

ひきこもり当事者の声を聞く

番組ではまずひきこもり当事者の方達に取材をし、彼らの率直な思いを聞き出していました。カメラの前で自分の思いを語ってくれたのはいずれもひきこもり歴が10年を超える方達です。

 

  • 男性46歳 ひきこもり歴14~15年 
  • 男性38歳 ひきこもり歴13~14年 


まずは46歳の男性の話。この男性は現在週に1回程度なら家から出れるそうです。彼がなぜひきこもったのかについて語ってくれていました。


ひきこもったきっかけは15年前会社を辞めたことだそうです。当人曰く、普通の人が出来るようなことができなかったり、ちょっと違ったりして会社から辞めるように言われて辞めてしまったとのこと。


ただ、男性もこんなに長くひきこもることになるとは思っていなかったそうです。ではなぜひきこもりが長期化したのでしょうか?彼はひきこもった原因を次のように捉えています。

 

  • 失敗に対する恐れがあった
  • 仕事をやめてからブランクが長いので働くことへの不安がある
  • スキル面で劣っているのも気になる
  • 相談できる機関がなかった

 

彼のこの意見は非常に参考になるし、共感できるんですよね。

 

僕も大学卒業して一時期家からあんまり出れない時期がありましたが、その時は自信を失っていたし、失敗に対する恐れや働くことへの不安ってメチャメチャありました。相談できる機関もパッとは思いつかなかったです。

 

それが、ひきこもり歴10年以上ともなればその不安感とか、失敗を恐れる気持ちっていうのは相当なものなんだろうなと。10年って相当長いですよ。

 

しかも、その間将来のことを考えてしんどくなったり、周りの人と比べてしまったりして自信を失ってしまったりするわけです。ひきこもっていた状態だと基本的には自信を回復することってまずないでしょうから、どんどん自分が嫌になってしまう、自分の存在価値を否定してしまったりするようになったりもするんですよね。

 

で、そこから「じゃあ、外に出て活動しましょう」といわれても正直そんなすぐに動き出せないですよね。

 

ひきこもっている人に対して批判的な言葉ばかりを投げかける人は、その辺りのことを想像してみてほしい。長い間社会から断絶されていた人間に対して「なんで外に出ないんだよ」という言葉を投げかけることが、当人にとってどれだけプレッシャーになることか。その言葉を投げかけることははたして当人にとってプラスな効果があるのでしょうか?

 

僕はむしろ、マイナスの効果しかないと思うし、批判的な言葉は当事者はからますます自信を奪い動けなくなってしまうんじゃないかとすら思うわけです。

 

当事者会に参加する様子を取材

この46歳の男性は最近、意識的に外のつながりを持とうとしているそうです。番組では彼がひ老会(ひきこもりと老いを考える会)という当事者たちの集まりに参加する様子を取材していました。

 

参加者は基本的にひきこもり当事者の中年の男女。各々親が死んだ後のことの財産の手続きのことや、心の問題のこと、自分がひきこもった理由などを語り合っていました。中には目頭を押さえながら語る人もいて、ふだん自分の感情を押し殺していたり、言いたいことを言えない状況ななんだろうなということが想像できましたね。

 

男性はこの会に参加した感想をこんな風に語っています。

 

「できるところから始めようじゃないですけれども、自分なりにはいい方向に向いているのかなとは思っている」

 

ひきこもりからの脱出って考えた時に、すぐに就労とか家から出るっていう方に結び付けたがる人はけっこういると思います。それはそれで間違ってはいないとは思うんだけど、じゃあ長年ひきこもり続けた人にとってそれがすぐにできるかというと、それはメチャメチャハードルが高いと思うんですよね。

 

ましてや、ただでさえ自信を失っている人が多い中、すぐに働き出して失敗したりうまくいかなかったりしたらどうなるのでしょう?おそらく、またひきこもって今度はもっと動き出せなくなってしまうんじゃないかというのは容易に想像がつくわけですよね。

 

それはちょっとリスクがありすぎるし、そんな事はきっと当事者も周りの人も望んでないと思うんですよね。であるならば、最初はそれこそこの46歳の男性のように、当事者会のような場所に参加して、自分の考えを伝えたり、周りの人からの情報をもらったりして少しずつでも安心感を取り戻したり、不安感をやわらげていくところからスタートしていくと。

 

男性の言葉にあるように「できることから始めていく」っていう感じで、少しずつ動いてみて、自信を取り戻していくっていう方が現実的だし、当事者にとってもプレッシャーが少なくていいんじゃないかと思いますね。

 

家族の葛藤についても紹介

ひきこもりの多くは、実家暮らしであったり家族の援助を受けながら生活をしています。番組では、そんなひきこもりの家族の葛藤についても紹介をしていました。

 

番組が取材をしたのは、OSD(親が死んだらどうしよう)よりそいネットワークというところです。

 

ここで番組はひきこもりの方のお母さんの声を紹介。


一番心配している親が死んだらどうするって息子のことが気がかりで参加したとのこと。この辺はひきこもりの方の親御さんなら誰しもが考えることなのでしょう。

 

で、この会ではひきこもりの治療や支援をしている精神科医の斎藤環先生がひきこもりの当事者に対してどのように関わっていけばいいのかを語っていました。


齋藤先生によると大事なのは対話をすること

 

「えー、対話ならうちの家族はちゃんとやってるよ」という方もいるでしょうが、斎藤先生曰く、それは対話ではなくおしつけ、議論、説得、正論の可能性があるとおっしゃっています。そうなるとひきこもり当事者に話を聞いてもらうことはできないとのこと。

 

確かに、意見をおしつけられたり、議論をふっかけられて論破しようとしたり、家族に「自分が正しいんだからこうしなさい」と説得されたり、「おまえはもう若くないんだから」と正論を言われたりしたら、当事者は話したくないだろうなぁと思いますね・・・。

 

大事なのは、「ひきこもり当事者が安心して動き出せるような関係づくり」だと僕は思うので、そこに必要なのはおしつけも議論も説得も正論じゃないよなぁと。後々他の引きこもり当事者の方の意見としても出てきますが、共感だったり、話をしっかり傾聴するといったことなんじゃないかと思うわけです。

 

 

さらに齋藤先生は家族のかかわり方についてこのようにも述べています。

 

「ひきこもり状態を非難、批判しないこと。批判から入ったらそこで話が終わってしまう」

 

ひきこもり当事者の方ってもう社会からさんざん非難されたり批判されたりしてるんですよね。「働かないで家に閉じこもってる奴は○○だ」みたいな感じで。(何のプラスにもならない非難)

 

当事者は自分自身で「なんで動けないのか」とか「人と同じようにできないのか」って責めてしまってたりするわけですよ。それを数年単位とかでやってきてるわけです。それがどれだけ苦しいことか。そこにきて家族からも非難、批判されたらもうしんどいですよね。「誰も自分のことを理解してくれない」と気持ちも沈みますよ。そりゃ、本心では家族と話をしたかったとしても、面と向かって非難されてしまったら、もう放っておいてくれってなりますよね。

 

そうじゃなくてまずは非難、批判をせずにきちんと対話をすること。本人の話を聞くこと。斎藤先生がおっしゃるようにおしつけたり、議論に持ち込もうとしたり、説得しようとしたり、正論で黙らせようとしないことですね。

 

僕もまだまだできてるとは言い難いですが「相手がよりよくなるにはどうすればいいのか?」っていうのを考えるのが大事なんじゃないかと思うわけです。

 

まとめ

そんなわけで、かなりざっくりとではありますが今回はNHKのハートネットTVでひきこもりの方を取り上げた回の感想を書いてみました。

 

当事者の声に耳を傾け、ひきこもる理由や、長期化してしまう理由、家族や関係者の葛藤や、脱出のためのヒントなど、短い時間ながらとても参考になる内容の番組だったと思いました。

 

今後もこうした番組なんかで、ひきこもり当事者の声や、動き出すためのヒントなんかを放送してほしいです。あ、できれば「ひきこもりから動き出せた人」なんかも積極的に取り上げてもらえるとそこからもヒントを貰えるんじゃないかななんて思ってます。

 

それでは今回はこの辺で。