ニート気質な僕の生きる道

自分の経験を活かして、無職やニートや、ひきこもりなど自分と同じように、「生き方」や「働き方」に悩んだり立ち止まった人が前向きになったり、自分の進みたい道に一歩踏み出すきっかけになるブログを目指しています。

『日本の大課題 子どもの貧困』児童養護施設って何?そんな基本的なことから学べる一冊です。

突然ですがあなたは児童養護施設に対してどのようなイメージを抱いてますか?

 

おそらく親御さんがいないとか、虐待から逃れてきた子供たちが過ごす場所といった「大変な境遇の子供たちが過ごす場所」というイメージが浮かぶかと思います。でも、具体的にどういう制度の下でどういうことをして子供たちをサポートしているのかって曖昧じゃないですか?

 

まぁ、僕もいい年だしそういうところの知識も知っておかないとなーなんて思って、今回読んでみたのがこちらの本です。

 

 

 本書は児童養護施設とそこで生活をする子供の貧困について学べる一冊です。二部構成になっており、前半部分では池上さんが児童養護施設の運営者である高橋利一さんに質問をし高橋さんが回答していく対談形式で進んでいく形となっています。

 

こちらでは僕のように、あまり児童養護施設の実情を知らない人、たとえばその歴史や成り立ち、組織の経営母体など概要について学ぶことができるので、「そもそも児童養護施設とは何ぞや?」といった、ざっくりとした概要を知りたい人にとっては非常に参考になる部分かと思います。

 

後半部分は臨床心理士で、児童養護施設や里親の支援などを幅広く活動をしている池上和子さんが「施設の子供たちの厳しい現実について」様々な数字やデータを交えて具体的に説明、さらにデータや数字だけでは見えてこない子供たちの心の問題についての説明。

 

そしてもう一人、こちらは児童養護施設からの自立を手助けする活動をされている高橋利之さんが、児童養護施設から自立するとは一体どういうことなのか、その際にどんな課題があるのかといったことを説明してくれています。

 

後半のお二人の部分に関しては、施設の子供の前に立ちはだかる課題の多さ、現実の厳しさなどより具体的に学ぶことができます。

 

まずは施設の子供が直面する逆境が想像以上に過酷であることを知ろう!!

ここでは本書の中で特に印象的だった部分を紹介していきます。池上和子さんのパートで多重逆境という単語が出てきますが、これは文字通り「いくつもの逆境を抱えること」を意味しています。

 

多重逆境とは、親自身の逆境であると同時に、子どもも負うものであり、問題が複数併存している状況であると、子どもの逆境とその影響を研究しているイギリスの社会学者リー(Lee 2011)は定義しています。そして、こうした多重逆境の過程では、貧困や虐待と同時に、教育や犯罪、健康にかかわる問題も抱えていると指摘しています。具体的には、①貧困、借金、金銭的逼迫、②子どもの虐待/児童保護に関する問題、③家族の暴力/家庭内暴力(DV)、④親の疾病/障害、⑤親の物質濫用(精神医学領域では薬物、アルコール依存症をはじめシンナーやライターのガス等、何らかの物質依存をしている状態を物質乱用と記載しています)、⑥親の精神疾患、⑦親の離別/悲嘆/拘留・服役、⑧親の犯罪、反社会的行動の8つの問題をあげ、これらの問題への対応には、複合的かつ多重なニーズがあり、包括的な取り組みが必要であるとしています。

引用元:『日本の大課題 子どもの貧困』p158~159 池上彰編 筑摩書房

 

本書によるとイギリスでは国全体の2%、14万人の子どもがこの多重逆境の状態にあるらしいです。2%ということは100人いたらその中の2人は上記の①~⑧の問題を複数抱えた家庭で育っています。

 

では、日本の養護施設にいる子供たちはどうなのか?これに関しては、都市部と地方の施設による違いなどで正確に比較をすることはできないようです。ただし、児童相談所で一時的に保護をするような場合には、いくつかの困難が重なっている家庭は多いとのこと。

 

ここではとある児童養護施設の子供たちの家庭環境を取り上げ、「いかに施設の子供たちが多重逆境の下で生活をしているのか」を具体的な数字とともに説明しています。

 

この施設の子供は58人。そのうち生活保護を受けている家庭は37.9%、親の離婚は75%、母親の精神疾患は48.3%、親との死別(父もしくは母)は20.6%、拘留は24.1%、DVは29.3%、親が中卒38.5%、高校中退20.5%、高校卒業35.9%となっています。

 

これ冷静に見ると、かなりすごい数字じゃないですか?3割以上の家庭が生活保護を受けている、さらに5割に近い家庭ではお母さんが精神疾患になっていたりする。お金もないし親が精神的に不安定な状況で子どもが問題なく育つのかというと現実的には難しいわけですよね。食事だって栄養のあるものを食べさせてもらえないかもしれないし、教育だってまともに受けさせてもらえないかもしれない。で、親のこうした逆境は子供にまで連鎖をしていく。

 

もちろん、中にはこうした逆境を跳ね返す子供もいると思うんですよ。たまにテレビとかでそういうケースが美談として取り上げられていたりする。でも、実際どうでしょうか?あなたが同じように貧困家庭で片親しかいなくて、その親御さんが精神疾患であったりといった逆境の下で育ったとしたら?ぶっちゃけ、僕は前向きに頑張れる自信ないですよ。だから、施設をはじめ社会全体で子供たちを支える必要があるわけですね。

 

なのでまずはこういう現実があることを知ると。僕がここでちょっと触れた部分だけでも施設にいる子供たちがいかに大変な環境で生活をしているかわかるじゃないですか。そうやってまずは彼らの生活がどんなものなのかを具体的に見る。思い込みや偏見にとらわれずに事実を知ることがまず大事だと思うんですね。

 

その第一歩として本書は個人的におススメの一冊だと思っています。

 

この本はこんな人におすすめ

  • 児童養護施設はどんなところか知りたい人
  • 児童養護施設の子供たちの現状について知りたい人
  • 子どもの貧困に関心がある人
  • 福祉関連の仕事に興味がある人

 

まとめ

というわけで、今回は『日本の課題 子どもの貧困』という本を読んだ感想を書いてみました。

 

ふだん児童養護施設だったり、そこにいる子どもたちを目にするということはあまりないかもしれません。

 

ただ、格差が広がり親御さんの生活も厳しさを増す中で、今後ますます家庭で育てられない子どもたちの数というのは増えてくるのではないかと思っています。

 

その時に大事なのは「いかに大変な状況にある子供たちを社会全体でサポートするか」という視点を持つこと。そのためには、子どもたちが現状どのような状況で何に困っているのか、どうすれば彼らの状況がよりよくなるのかを学び考え続けることだと思っています。

 

本書はそうした子どもの問題について考えるいいきっかけになる一冊です。決して難しい内容ではないので、興味がある人はぜひ一度ご覧になってみてください。