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日記から読んだ本や映画の感想、時事問題まで綴るブログです。弱者の戦い方、この社会がどうあるべきかも書いていきます。

『ストレスと適応障害』読了。ストレスに対処するための方法を学んでみた。

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現代社会においてストレスは切っても切り離せないものだろう。職場、学校などありとあらゆるところにストレスの元となるものがあり、人によっては体調を崩してしまう人もいるはずだ。

 

今回僕が読んだのはそんなストレスに対処するための方法を学べる一冊だ。

 

 

筆者は精神科医として活動されている岡田尊司さん。本書では岡田さんがストレスの原因や、ストレスとどう付き合っていけばいいのかをわかりやすく教えてくれている。できれば全部共有したいのだがさすがに無理なので今回は本書の中で、特に僕が大事だと思ったこと、そして読者の方にとって役立ちそうなことを中心に書いていこうと思う。

 

 

 ストレスについてザックリ知ろう。

ストレスの要因は様々 

まずはざっくりとではあるがストレスとはなんぞやというところから書いていく。ストレスになる要因はストレッサーと呼ばれるものがあって大きく分けて以下の4つに分けられる。

 

物理的ストレス(暑さ寒さなど)

化学的ストレス(低酸素)

生物学的ストレス(感染症など)

精神的ストレス(孤独や不安など)

 

一概にストレスと言ってもその種類には違いがある。僕たちがストレスと聞いてピンと思い浮かべるのは精神的なストレスのことだが、どの種類のストレスであっても受けた側は同じような反応をする。具体的には

 

発熱、食欲不振、体重減少、下痢・便秘など、さらに解剖してみると副腎皮質の肥大、胸腺や脾臓の萎縮、胃・十二指腸潰瘍・出血が認められた。

 

といったものだ。ただし、これらの反応というのは強すぎるストレスを加えられた場合。もしくは短期間なら何とか耐えられるストレスなのだがそれが長期的なものとなった場合である。

 

ここでまず覚えておきたいのはストレスは必ずしも悪いものではないということだ。適度なものであれば生理反応を活性化し活力を高めることもある。ほどほどのストレスは体にとっていい影響をもたらすことがあるのだ。

 

ただし先述したように強すぎるストレスや長期的なストレスを受け続けることで、ストレスから体や心を守る防御メカニズム自体が、自らの体や心を破壊する方向に働いてしまう。それを防ぐためにはどうすればいいのかを考えるにはまず、ストレスを受けた時に自分の身体に何が起きるのか、これを知っておく必要があるだろう。

 

ストレス・ホルモン(副腎皮質ホルモン)の働き

 

ストレスを受けると、ストレスに負けないようにストレス・ホルモンと呼ばれるものが体や心を守るために放出される。

 

ステロイド・ホルモンは副腎皮質ホルモンとも呼ばれている。ステロイドというと軟膏を思い浮かべる方もいるはずだ。ステロイドの軟膏には炎症やアレルギーを抑える効果がある。

 

炎症やアレルギーが収まるのは、ステロイドが異物との闘いを止めさせる作用を持つからである。ちなみにアレルギーというのはものすごく簡単に言うと免疫機能が体に入ってきた異物に対して過剰に反応することで起きるものだ。この異物との闘いをステロイドは止めさせてしまう。すると、アレルギーや炎症などは消えてしまうというわけだ。

 

一見すると、それはいいことのようにも思える。炎症などを抑えてくれるわけだからね。だが実は問題もある。先述したようにステロイドというのは異物との闘いを止めさせてしまう。するとどうなるだろうか?本来であれば闘わなければならない細菌やカビといったものに対しても無防備になってしまうのだ。その結果、細菌やカビに感染してしまうということが起こるわけだ。ストレスで疲労困憊な人が風邪をひくのはまさにこの典型例だろう。

 

では、なぜステロイドは異物との闘いを止めさせてしまうのだろうか。

 

それは、もっと肝心な問題との戦いに、エネルギーを集中的に投入するためだ。敵に襲われて、生きるか死ぬかというときに、バイ菌と戦っても意味がない。まず、目の前の闘いに生き残らなければ始まらない。そこで、バイ菌やアレルギー物質と戦うことは一時休戦にして、目の前の敵との戦いに戦力を集中しようとする。目の前の危険を生き延びるために、後で生じるデメリットには目をつぶるのだ。ステロイドの炎症を抑える作用は、生き延びるために緊急避難的な戦略なのだ。

 

ストレスは脳にも悪い

ウィルスとの闘いをやめることで風邪にかかるぐらいならまだいい。だが、ストレスというのは「脳にも悪影響を及ぼす」とのこと。ここでは具体的な悪影響について本書から引用してみよう。

 

実際、ストレス状況が長く続くと、脳の中の海馬と呼ばれる領域が萎縮し始める。これがうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)において起きている事である。無力感や記憶力低下、考えをまとめることが困難になるのは、海馬や前頭前野の機能が低下するためである。

そこに至る手前には、さまざまな段階があり、さまざまなサインを出す。病状や行動上の問題は、ある意味、ストレスが限界を超えかけているというサインであり、無理が生じているということを、間接的に警告しているのである。

 

ご存知の方もいるとは思うが、海馬とは脳の中の記憶に関わる部分である。ストレスが続くことでこの部分が萎縮するということは、物覚えが悪くなってしまったりするということだ。

 

もしかしたら読者の方の中にも、それまでは出来ていたのに何だか物覚えが悪くなったり、考えをまとめることができないといった状況に出くわした方もいるかもしれない。もちろん「その理由はストレスが原因です。」と一概には言えないだろうが、一つの原因としてストレスがかかりすぎていたということもあるかもしれない。

 

このようにストレスは脳にまで悪影響を及ぼすということだ。だからなおさらその付き合い方を学んでおくべきだと思う。ストレスがかかりすぎることで脳にダメージを受けるようなことは避けなければならないだろう。

 

適応障害とは?

適応障害の説明とその要因

ストレスによって心がバランスを崩した状態が、適応障害である。

 

この時点では、まだ基となるストレスを取り除いてしまえば元の状態に戻るし、脳が萎縮するといった状態にまで至ってはいないとのこと。

 

適応障害は特に環境の変化がきっかけで起きることが多いらしい。簡単な例をあげれば引っ越しや、就職、転勤、転職、転校などといったところだろうか。

 

新しい環境に入る場合ワクワクする人もいるだろう。だがそれまでの慣れ親しんだ環境を離れ、見知らぬ人と新たな人間関係を築く必要があり、人によってはストレスに感じることもあるはずだ。

 

僕も人見知りで新しい環境というのは苦手なほうだ。すでに築かれている人間関係の輪に飛び込むのはとても勇気がいるし、不安に感じてしまう。特に思春期以降は環境が変化するたびストレスを感じてきたし、環境に適応するまでに苦労してきたし、うまく適応できなかったこともある。

 

ただ同じような環境の変化があっても適応障害を起こす起こさないは個人差があるということである。僕のように新たな環境に適応しにくい人間もいれば、新たな環境に飛び込むのが楽しみですぐに慣れてしまうという人もいるということだ。だから、「自分は大丈夫だったから他人も大丈夫だろう。」ということではない。あくまで人によるということは憶えておくといいかもしれない。

 

ここで大事なのは

 

「この人は何が苦痛で、何が合わないのか」

 

というのを理解しておくこと。特に人を管理するとか雇うという場合には個々人の傾向を把握しておく必要があるだろう。

 

転勤を例に挙げるなら、毎年のように転勤をしても問題ないという人もいれば、一度の転勤や配置換えがものすごくストレスになる人間もいる。会社の方針だからといって同じようなやり方に当てはめようとすると場合によっては適応障害を起こしてしまうかもしれない。

 

その辺りは管理者がしっかりと個々人の特製を把握するとともに、場合によっては面談をして、その人がどういう傾向にあるのかを知っておく必要があると思う。

 

適応障害の症状は?

症状も個人差が大きく、多彩である。最も多いのは、気分が塞ぐ(抑うつ気分)イライラや不安感が強い、集中力や根気がない、しなければいけないことに手がつかないといったもので、うつ状態によくみられる症状である。ただ、うつ病と異なる点は、良いことや好きなことがあると、元気や明るさがすぐに戻り、気分反応性が保たれていることである。また、体重減少や体や頭の動きが緩慢になるといった症状も、比較的軽度である。

人によっては、攻撃的な行動や言動が増えたり、人や物に当たるようになる場合や退行現象が現れることもある。

 

パッと見るとうつ病なのではないかと思ってしまうが、良いことや好きなことがあると、元気や明るさが戻るというところに違いがある。うつ病の人の場合、好きなことですら楽しめなかったり、興味や関心が持てなくなってしまうだろう。思いうつの場合布団から全く起き上がれないなんて話も聞く。

 

ちなみに僕はこの適応障害の症状を見た時に「これは新型うつ病」なのではないかと思った。新型うつ病の場合、職場にいると鬱々としていたり、あるいは職場には来れない一方で、自宅ではわりと明るく過ごしたり、友達と遊びに行けたりする。人によっては旅行にも行くなんてこともあるのだ。

 

実際本書の中でも適応障害と新型うつ病の関係について書かれていた。

 

昨今、「新型うつ病」という新しいタイプのうつ病が、巷でも話題になることがある。新型うつ病の特徴としてよくいわれるのは、職場では調子が悪く、やる気がまったく出ないのだが、家に帰ると比較的元気で、自分の趣味のことなどには熱中して取り組めたりすることである。

この事は、新型うつ病が適応障害をベースにして生じていることを示している。このタイプのうつは、「逃避型うつ」とも呼ばれるが、その実態は大部分が適応障害なのである。休職すると元気になるが、また復帰が近づいてくると、症状がぶり返すということになりやすい。症状の治療をするだけでは、根本的な改善にはならないのである。

 

この辺は判断が難しいところだ。実際本書によるとクリニックのレベルではうつとして受診するケースの大部分が適応障害で占められるところもあるらしい。うつ病と適応障害の場合当然だが対処の仕方は違う。適応障害であれば、まずはしっかり休むことや環境を本人にとってストレスの少ないものにするか、もしくは本人が環境に適応しやすいようになることが必要とのことだ。

 

ストレスにうまく対応するにはどーしたらいいの?  

 

ここまでで、強いストレスや長期間ストレスを受け続けるのは良くないということをお伝えしてきた。だが、生きている限りストレスとは付き合っていかなければならないし、どこに行ってもストレスというものは付きまとってくる。そのため完全に回避することは不可能だ。であるならば、僕や読者の方が知りたいのは「ストレスにどうやって対処していけばいいの?」ということではないだろうか?

 

そこで、ここでは本書の中にも書かれているストレスにうまく対処するために知っておくといいいくつかの原理を共有していこうと思う。

 

一つ目の原理

 

最初の原理は、ストレスは自分でコントロールできると、小さくなるということだ。ただし、コントロールするのに行動なスキルが必要な場合には、ストレスが逆に大きくなる。

つまり、自分で比較的容易に対処できる方法を身につけることが、ストレスを減らす上で重要だといえる。

 

本書では、授業中の子供を例に挙げて説明している。授業中に先生にあてられたとしてもその子供自体が問いに簡単に答えられるのであれば、教室にいること自体はストレスにはならない。少なくとも勉強のことで「学校に行きたくない。」と思うような事はあまりないだろう。

 

だが、一方であまり勉強が得意ではなく先生に当てられても答える自信がない生徒の場合はどうだろうか?そういう子の場合先生に当てられること自体が嫌だし、当てられて答えられないことを考えるとそれだけでストレスになってしまうということもある。もしかしたら読者の方の中にも授業中「頼む、当てないでくれ!」と願った人もいるかもしれない。

 

その日の授業のみであるならばそのストレスには耐えられるだろうが、毎日のように続くとなると話は別だ。やがてその生徒は授業に出ること自体が不安になり、「学校に行きたくない。」と思ってしまうかもしれない。

 

だが、このストレス自体は自分でコントロールできることでもある。たとえば事前に準備をしておくこと。この場合、授業の予習をしておけば何もしていない時よりも、当てられることに対するストレスというのは減るだろう。

 

二つ目の原理

 

第二の原理は、ストレスは抑えようとすればするほど、増大するということである。ジグムント・フロイトから始まる精神分析の発見の一つは、抑圧された欲求が、症状を作り出すということだ。まったく同じように、抑え込まれた欲求はストレスになるといえる。

 

ストレスを抑え込む場合には、無意識の場合と意識して抑え込んでいる場合がある。どちらが有害かというと無意識に抑え込んでいる場合である。この場合無意識なのでなんともないように見えるのだがいつの間にかストレスが蓄積し、いきなりうつっぽくなってしまうことがある。

 

一方、意識してストレスを抑え込んでいる場合それはそれでストレスになることは間違いない。ものすごーく相手に怒っているのだけど、その怒りを相手に直接ぶつけずに「ああ、ここで怒ったら雰囲気が悪くなるな」我慢する。これがストレスになるというのは何となく理解できることだと思う。だがこの場合「自分で抑えよう」と選択をしている。そしてそのことを意識できているのでストレスが知らぬ間に蓄積することを防ぐというメリットがある。

 

もちろん、この場合も意識ができているとはいえあまりにも欲求を抑え込み続けてしまえばストレスは蓄積されてしまうので、時にはしっかりとものを言うこと、欲求を外に出すということも大事になってくる。どちらにせよストレスを抑え込んで溜め込んでしまうのはよくないよっていうことだ。

 

三つ目の原理

第三の原理は、ストレスが限界を超えてしまうと、ストレスに慣れるどころか、ストレスに対して過敏になってしまうということだ。それまでどうもなかった物質に対していったん感作が起き、アレルギーになると、まったく受け付けられなくなるように、ストレスに対しても同じように感作が起きるのである。

 

ほどよいストレスであれば人は慣れる。だが、あくまでほどよいストレスというのが重要だ。毎日にように会社で起こられ続ければストレスはたまるし、たまり続けたストレスはやがて限界を超える。それまで一切症状が出なかったのに、いきなりくしゃみや鼻水が出る花粉症のようにある日突然症状が出てきてしまうこともあるわけだ。

 

では、この場合どうすればいいのだろうか?その対処法を本書から引用してみよう。

 

ストレスが原因となって起きる適応障害やうつ、心身症の克服には、二つの方向があるということになる。一つは、不適応を生じている環境の問題を解決したり、ストレスに対する耐性を高めて不適応を克服し、その環境で支障なく生活できるようにもっていくという方向である。もう一つは、合わない環境からできるだけ早く離れて、その人に適した環境に移ることで、新たな環境での適応を図るという方向である。

 

会社員でいえば、仮に上司がストレスの元であるならば、さらに上の上司に相談して部署を変えてもらうとか、あるいは自分自身がなんとか上司と接しても大丈夫なように工夫をしていく。それでも、どうしてもだめならば天職をするといったことも視野に入れるといった具合である。

 

ただ、筆者の岡田先生もおっしゃっているのだが、あまりにもあっさりと環境を変えることを選ぶと場合によってはストレスに耐えうる粘り強さや抵抗力といったものが身につかないこともある。「嫌だからすぐ次の場所へ。」となると、それが癖になり何事も続かない人になってしまうこともあるだろう。そのため、まずはうまく環境に適応できるように頑張ってみるという考えを持つことが大事だ。そのことをまずは頭に入れておこう。

 

その上であれこれやってみたけど「やっぱりこの環境は無理だ。」というのであれば、そこは躊躇なく環境を変えよう。ストレスをためすぎて体調を崩すまで我慢し続けることはない。環境を変えることで展望が開けた例はいくらでもあるのだから。

 

四つ目の原理

三つめの原理のところで、ストレスに対する耐性を高めることが大事だということをお伝えした。ただ、ここで勘違いしないでほしいのは、ストレスに耐える、ストレスを乗り越えるのは別に自分一人だけの力でなくてもいいということだ。

 

それは、ストレスを乗り越える力は、その人個人の力だけでなく、その人を支える力によっても左右されるということだ。実際、問題を解決する能力における重要な要素は、他の人に相談できるかどうかである。

ところが、問題解決が苦手な人ほど、自分だけでなんとかしようとする。逆にいうと、自分の弱みを見せて相談するのが苦手な人ほど、適応障害を起こしやすい。

 

ストレスを乗り越えるというとなんとなく「自分だけの力で乗り越えなければならない」と思う方もいるかもしれない。しかし、実はそんなことはなくて人の力を借りてもいいのだ。実際、これまでの人生で自分だけの力ですべて解決してきたなんて人はひとりもいやしないだろう。だから人に頼ることを躊躇する必要はないのだ。弱みを見せてもいいんだということを認識しよう。

 

特に適応障害で苦しんでいるのであれば、それはもう自分だけでは解決が難しいことを示しているようなものだ。なのにそれを「自分だけでどうにかしなければ」と思い詰めるとさらにストレスをため込むことになる。そうやって我慢し続けると状況はさらに悪化してしまうこともある。

 

うまく人の力を借りつつ環境に適応していく。ダメな時は周りに相談をして解決策を探っていく。そんな選択肢があるということは常に頭に入れておこう。相談相手は誰でもいい。

 

親でも兄弟のように近しい人でもいい。だが近いからこそ言えないこともあるかもしれない。それならば上司でも、同僚でも、先生でも、友達でも、カウンセラーでも誰でもいい。きっと相談に乗ってくれる人は必ずいるはずだ。助けを求めることは別に悪いことでも何でもいのだから、遠慮なく人に相談しよう。それだけでも溜め込んだストレスを発散できることもある。人に相談することで自分では気づけなかった解決策に気づけることもあるかもしれない。

 

まとめ

今回は岡田尊司さんの『ストレスと適応障害』の中から僕が大切だと思った部分の内容と感想を書いてみた。

 

何度も言うように生きている限りストレスからは逃れられない。そして僕たちはうまく環境に適応するためにもストレスとうまく付き合っていく必要がある。

 

本書には「どうやってストレスに対処していけばいいのか?」「どういう考え方を持つといいのか?」といったヒントがたくさん書かれている。僕が書いたのあくまでその一部分でしかない。

 

ついついストレスをため込んでしまう人や、なかなかうまく環境に適応できないなんて人にはぜひ読んでみてほしい。きっと参考になることが書かれているはずだ。

 

それでは今回はこの辺で。

最後までご覧いただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。

 

 

岡田先生が書かれた別の本の感想も書いてみました♪

 

参考記事:回避性パーソナリティ障害とは何か??その特徴について本から学んでみた。 - ニート気質な僕の生きる道