日本の自殺者数はピーク時には年に3万人を超えていました。ただ、そこから徐々に数は減り、2018年の自殺者数は2万598人となっています。(厚生労働省が警察庁の統計を基に公表)
ピーク時に比べ自殺者数が減ったとはいえ、いまだに2万人以上の人たちが自ら命を絶っているという現状はけっしてスルーしていい問題とは言えないでしょう。
※ちなみに交通事故死は2018年で3532人なので、自殺者数は交通事故によって無くなった人の6倍近くになるということです。
参考サイト:https://response.jp/article/2019/01/07/317699.html
僕自身、自殺問題に関しては以前から関心が高くて、いくつか関連本も読んだりして「どうすれば自殺を防ぐことができるんだろうか?」ということは常々考えていたり、このブログでもそういった本から学んだ知識を共有させてもらったりしています。
参考:『自傷・自殺のことがわかる本』を読んで、やはり複数の繋がりを持ったり、コミュニティに属することが大事だと思った! - ニート気質な僕の生きる道
参考:『もしも、「死にたい」と言われたら』を読んだ感想を書いてみた!! - ニート気質な僕の生きる道
で、ここ最近も自殺に関連した本をいくつか読んだのですが、その中でも特に役に立つなと思った本があるので紹介したいと思います。それがこちら。
著者の高橋祥友さんは精神科医として活動されており、自殺に関連する著書を多数執筆されている自殺予防や対策のエキスパートです。今回はこの本の感想や、読者の方と共有しておきたい知識について書いていきたいと思います。
自殺をする人の心理について理解することができる
本書では、自殺の概要や自殺者とうつ病の関係、実際にどのような自殺予防の取り組みがおこなわれているのかを学ぶことができます。もちろん全般にわたって大事なわけですが、その中でも僕が特に「ここは大事なところだな」と思ったのは、第2章の自殺予防の部分です。
自殺予防の十箇条や自殺直前のサイン、自殺に追い込まれる人に共通する心理といった、自殺者やその身近にいる人に役立つ内容が書かれています。
こういう知識って知っておいて損はないと思うんですよね。もちろん、僕らは精神科医でもないしカウンセラーとか自殺の専門家でもないわけだから、できることには限界があるわけだけど、もし仮にこの本から学んだ知識が頭に入ってたら、身近な人の様子が「なんかおかしいな?もしかしたらちょっとまずいのかも・・・」ってなったときに、病院とか相談機関につなげることができるじゃないですか?
でも、知識すら全く知らない状況だとしたらその「もしかしたら」が出てこなくて、おそらくスルーしちゃうと思うんですよね。もちろん、知っていたからといって必ず自殺を止められるなんてことはないわけだけど、少なくとも知らないよりはできること気付けることは増えるわけです。そういう点において、こういった本からざっくりとでも知識を学んでおくといいのではないかと思うわけです。
自殺したいと打ち明けられたときの原則がとても役に立つ!!
さらに、ここで僕が知っておいてよかったと思うのは、「もしも自分が身近な人から自殺をしたいと打ち明けられたとき」に何をすればいいのか、どういう心構えでいいのか、逆に何をしてはいけないのかといった原則が説明されていることでした。
なかなか人生において自殺をしたいと相談されることってないかもしれません。でも、もし仮にあなたが家族や友人、もしくは仕事関係の人でも「自殺をしたい」と打ち明けられたらどうでしょうか?おそらく、激しく動揺してしまうでしょう。そして、「はたしてどんな対応をすればいいのか?」と悩んでしまうのではないでしょうか?
でも、それが普通だと思うんですよね。だって、目の前にいる人が自殺をしたいと考えているとしたらきっと「もし自分が下手なこと言ったらこの人が死んでしまうかも」と考えてしまうはずですから。軽はずみなことは言えない、だけど相談してくれたのに何もできないというのもまた心苦しいわけです。
そんな時に本書に書かれている「自殺を打ち明けられたときの原則」が少しでも頭の中に入っていたとしたら、また対応も変わってくると思うわけです。ここでは詳細までは述べませんが、どういった原則なのか箇条書きでお伝えしていきます。
①誰でもよいから打ち明けたのではない
- ある程度心を開いた人にしか言わない
②生と死の間で激しく揺れ動いている
③時間をかけて訴えを傾聴する
- まずは聞き役に回る
④沈黙を共有してもよい
⑤してはいけないこと
- 話題をそらさない
- 表面的な激励をしない
- 叱りつけない
- 社会的な価値観を押し付けない
⑥悩みを理解しようとする態度を伝える
- 共感を示す言葉がけをするのもよい
⑦十分に話を聞いたうえで他の選択肢を示す
- たくさん話してもらって、余裕ができたら他の選択肢について話してみる
⑧いつも「自殺」の話題から打ち明けてくるわけではない
- ごくありきたりなことから話すことも多い
高橋祥友『自殺予防』(岩波書店)p83~93に書かれた原則を参考にしました
どうでしょうか?何となく「これがやっていい対応でこれはダメなんだな」というのが分かったかと思います。もちろん、知っていても実際に打ち明けられたら動揺はするでしょうが、それでも何も知らない状態よりは精神的に余裕が持てるでしょうし、冷静になれるはずです。
まとめ
今回は『自殺予防』という本を読んだ感想や、役に立つ知識を皆さんと共有してみました。
自殺は僕たちにとって身近なものではないのかもしれません。でも、毎日のように誰かが命を絶ち、万単位の人がこの世を去るという現実がこの国では数十年続いています。
専門家でもない僕たちにできることは少ないのかもしれません。それでも、思い込みや偏見で誰かを追い詰めないこと、少しでもしんどい思いをしている人がいい方向に進めるようにサポートすることが大事だと思っています。その第一歩が「知ろうとすること」なのではないでしょうか。
ぜひ、本書をはじめ自殺についても知ることで、困難な状況にいる人たちのことを知ろうとするところから始めてみてください。
自殺を知るうえで役に立った本を紹介しています。
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